RACE REPORT
レースレポートAUTOBACS JEGT 2021シリーズTEAM BATTLE ROUND 02
GRスープラパワーとピット戦略を活かしたニワカレーシングが優勝
増田 真吾
2021年11月3日(水)、AUTOBACS JEGT 2021シリーズ TEAM BATTLE(団体戦) Rd.2が開催された。初戦を安定した速さで制したEVANGELION e-RACING with 広島マツダと2020年シリーズチャンピオンのTC CORSE Esports MAZDAの結果に注目が集まる。
■2021シリーズ TEAM BATTLE Rd.1 予選グループA
・グループA 予選 スーパーラップ
予選ラウンドの舞台は、6,213mというコース長の長さが特徴のマウントパノラマ・モーターレーシングサーキット。コース長に加えて、アップダウンも多く、エスケープゾーンが少ないコースレイアウトのため、抜きどころが少なく高い集中力も要求される。
まず予選グループAのスーパーラップが行われ、唯一の1分台を叩き出した荒木選手(#280 ニワカレーシング)が、1:59.967でポールポジションを獲得。以下、2番手に鍋谷選手(#105 TC CORSE SPK e-SPORT Racing)、3番手鷲尾選手(#127 LAILE木更津)と続いた。荒木選手は、少々ピーキーな性格のトヨタGR スープラ レーシングコンセプト ’18にも関わらず、コーナーで暴れる車体を上手くコントロールして、セクターベストを連発。スープラの加速を活かした直線での伸びもあり、スーパーラップを制した。一方、2番手となった鍋谷選手は、コーナリングマシンであるマツダ RX VISION GT3 CONCEPTの性能を活かしたいところだが、稼ぎどころの中盤セクションで思うようにタイムが伸びず2番手にとどまった。
・グループA 予選レース
グループAの予選レースは、ローリングスタートがやり直しになるトラブルがあったが、2回目で全車混乱なくスタート。特に、井芹選手(#280 ニワカレーシング)と2位菅原選手(#105 TC CORSE SPK e-SPORT Racing)は絶好のスタートを決めた。
レースは、1ラップ目終盤で、4位争いに変動が起こる。加速性能に絶対的な自信を持つ日産 GTR ニスモ GT3を駆る4位久万田選手(#90 WEB OPTION RACING)が、コース終盤の下りストレートで、鎌野選手(#127 LAILE木更津)をパスし3位に浮上した。
一方、レース全般に目を移すと、2ラップ目で、7位藤嶋選手(#134 LAILE横浜)が野島選手(#777 D’station Racing)をパスして6位に浮上する動きはあったものの、予選通過ラインとなるトップ5と6位以下が大きく離れる展開。
1位 井芹選手、2位 菅原選手が安全マージンを築く中、3位から5位は混戦状態が続く。
レースは、序盤から安定した走りを見せた、井芹選手(#280 ニワカレーシング)が1位でフィニッシュ。2位菅原選手(#105 TC CORSE SPK e-SPORT Racing)、3位には、1ラップ目で鎌野選手をかわした久万田選手(#90 WEB OPTION RACING)が入った。
4位に鎌野選手(#127 LAILE木更津)、5位に坪井選手(#54 TC CORSE Esports MAZDA)。坪井選手は、4ラップ目で壁に接触するミスがあったものの、前半に築いた6位以下との大きなマージンが奏功した。
■2021シリーズ TEAM BATTLE Rd.1 予選グループB
・グループB 予選 スーパーラップ
グループBのスーパーラップは、岩田選手(#12 KOSHIDO RACING)が、トヨタ
GR スープラ レーシングコンセプト ’18のパワーを登り区間で存分に活かし、2分00秒227でポールポジションを獲得した。次いで2番手に今里選手(#888 Sengoku Gaming)、後藤選手(#301 LAKE GAMING)が3番手。宮園選手(#01 EVANGELION e-RACING with 広島マツダ)と、杉守選手(#55 ARTA)はトラックリミット違反でタイム無効となり、最後尾から苦しいスタートとなった。
・グループB 予選レース
スタートは予選グリッドのまま順位変動はなく立ち上がる。1ラップ目最終盤で、6位~9位が一気に混戦となったのをきっかけに、5位までの上位陣と6位以下との差が大きくなり、予選グループA同様の展開となった。
2ラップ目に入り、6位~9位がさらに混戦の様相を呈する。上位陣を早く追いかけたい、前回優勝の山中選手(#01 EVANGELION e-RACING with 広島マツダ)が、1コーナーの飛び込みで7番手に浮上。その後6位まで順位を上げる。
3ラップ目に突入すると、1位から3位、4位5位がそれぞれ接近。6位以降が大きく離れたことで、上位陣は果敢に前のマシンへのアタックをはじめる。1コーナー後の直線で、2位 太田選手(#888 Sengoku Gaming)が、ついに黒畑選手(#12 KOSHIDO RACING)を捉え、1位に浮上。その後も1位から3位はほぼテールトゥノーズの状態のままファイナルラップへ。
このまま順位は確定かと思われたファイナルラップ。最後の直線で、3番手を走行していた佐々木選手(#301 LAKE GAMING)が、前を行く黒畑選手のスリップストリームに入ると、そのまま横に並び、2位に浮上した。
レースは結局、3ラップ目でトップに立った太田選手(#888 Sengoku Gaming)がそのままポジションを守りきり1位。2位に最後の最後で追い上げた佐々木選手(#301 LAKE GAMING)、ポールポジションスタートだった黒畑選手(#12 KOSHIDO RACING)は3位に終わった。
また、8番グリッドからのスタートとなった、初戦優勝の山中選手(#01 EVANGELION e-RACING with 広島マツダ)は、必死の追い上げを見せるも、6位止まり。序盤6位争いからなかなか抜け出せず、5位と大きく離されてしまったことが最後まで響いた。
なお、河崎選手(#557 TeamAUTOBACS @G-7AUTOSERVICE)は接触によってレース後に5秒加算のペナルティとなったが、順位に変動はなかった。
■2021シリーズ TEAM BATTLE Rd.1 決勝
・決勝 スーパーラップ
決勝の舞台は、世界屈指の高速サーキットで知られるモンツァ・サーキット。4本のロングストレートをシケインと複合コーナーで結んだ超高速サーキットだ。
ポールポジションは、1分46秒565をマークした、久万田選手(#90 WEB OPTION RACING)が獲得。惜しくも1位とわずか0.126秒差となる2位となったのは、太田選手(#888 Sengoku Gaming)で、3位黒畑選手(#12 KOSHIDO RACING)、4位に山本選手(#301 LAKE GAMING)と続く。
トップ2は、日産 GTR ニスモ GT3、3位から5位はトヨタ GRスープラ レーシングコンセプト’18と、上位陣はハイパワー車が独占。高速サーキットを象徴する予選結果となった。
・決勝 第1レース
決勝のスーパーラップの結果を受け、いよいよ決勝第1レースがスタート。第1レースの着順がそのまま第2レースのスターティンググリッド順となるため、各チームの激しいバトルが予想される。
レースは、オープニングラップ前半から波乱の展開となった。ポールポジションからのスタートとなった深田選手(#90 WEB OPTION RACING)が、最初のシケインで態勢を崩すと、絶好のスタートを決めていた、2番手スタートの今里選手(#888 Sengoku Gaming)が、チャンスを逃さず横に並び、次のコーナーでそのまま1位に浮上した。
2位からの巻き返しを図る深田選手だったが、次のシケインでも大きくテールをスライドさせてしまう。この間に、4位を走行していた後藤選手(#301 LAKE GAMING)が2位に、続く井芹選手(#280 ニワカレーシング)が3位、坪井選手(#54 TC CORSE Esports MAZDA)が4位とそれぞれ一気に2つポジションを上げた。また、3位を走行していた植野選手(#12 KOSHIDO RACING)は、逃げ場がなく、一気に5位まで後退してしまう。
2ラップ目に入り、1位今里選手から4位坪井選手(#54 TC CORSE Esports MAZDA)までがテールトゥノーズの手に汗握る展開。5位以下を大きく引き離しはじめる。
トップグループの4台が、テールトゥノーズの態勢でファイナルラップに突入し、レースは最後までもつれる展開を見せる。
最終コーナーで、今里選手の仕掛けたところ、井芹選手(#280 ニワカレーシング)に押し出される形でコースオフ。その隙きを突いた後藤選手が最終コーナー明け最後の直線で2位に浮上した。
レース結果は、ファイナルラップ最終コーナーで今里選手を押し出す形になってしまった井芹選手が、ペナルティによりレース後3秒の加算で4位に後退。
そのため、チェッカーフラッグ直前で2位に浮上した後藤選手(#301 LAKE GAMING)が1位。2位には今里選手(#888 Sengoku Gaming)が続き、坪井選手(#54 TC CORSE Esports MAZDA)が3位となった。
・決勝 第2レース
いよいよ、AUTOBACS JEGT 2021シリーズ TEAM BATTLE(団体戦) Rd.2の決勝 第2レースがスタート。第2レースの周回数は10周で初期搭載燃料は40L、使用タイヤはミディアムかハードを選べるが、途中1回以上のピットインと、最低1回ハードタイヤ使用しなければならない。決勝の第2レースは、ドライバーの腕だけではなく、ピットイン戦略とタイヤ選択が勝敗の行方を左右する。
レースは、グリッド順のまま大きな混乱なくスタート。4番手スタートの荒木選手(#280 ニワカレーシング)は、早い段階で3位 佐々木(唯)選手(#54 TC CORSE Esports MAZDA)の背後につけ、バックストレート前半でスリップストリームからあっさりオーバーテイク。3位に浮上した。
1LAP目終了と同時に、ハードタイヤでスタートしたチームは相次いでピットイン。ミディアムスタートで、見かけ上3位を走行中の長選手(#11 KOSHIDO Jr.RACING)が2LAP目3LAP目とファステストラップを連発徐々にトップグループに迫る。
見かけ上の順位が動かないまま迎えた6ラップ目。2位奥本選手(#888 Sengoku Gaming)がトップ佐々木(拓)選手(#301 LAKE GAMING)に急接近すると、7ラップ目のホームストレートでパスしトップに浮上した。
しかし、その差は開かず、テールトゥノーズのまま迎えた9ラップ目。今度は佐々木選手がホームストレートで奥本選手を捉えると、そのままトップ争いはサイドバイサイドの熾烈な争いへ。
この間隙をついたのが、好調なラップタイムを叩き出し続けてきた長選手。バトルによってタイムを落としたトップグループに一気に接近し、そのまま3台がテールトゥノーズという状態で同時にピットイン。
この間に、4位 荒木選手、5位 佐々木(唯)選手がホームストレートを通過。わずかな差でトップに躍り出た。
レースは、このまま荒木選手が優勝し、#280 ニワカレーシングが今シーズン初勝利を挙げた。2位は佐々木(唯)選手(#54 TC CORSE Esports MAZDA)で、終始安定したクレバーな走りで、昨年チャンピオンの面目を守った。3位は佐々木(拓)選手(#301 LAKE GAMING)、4位に奥本選手(#888 Sengoku Gaming)と続いた。
荒木選手の優勝は、ドライバーの腕とピット戦略がしっかりハマった結果と言える。オープニングラップで順位を1つ上げ、そのままピットでミディアムタイヤに交換。その後プッシュし続けたことで勝利を手繰り寄せた。
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