RACE REPORT
レースレポートJEGT2024のレギュラーシーズンはSengoku Gamingの4連覇達成で幕を閉じたが、激闘の名残を惜しむように選抜選手による1戦限りの夢の対戦が実現した。
しかも、グランツーリスモを使用する大会としては唯一(※)賞金が用意されているシーズン同様、総額40万円の賞金レースとして開催。
2025年3月22日(日)に初めて開催された、選抜戦の模様を詳しくレポートしよう。
※2025年4月現在
選抜レースの出場選手は、1チーム1選手(+ファン投票4選手)に厳選されるため、グランツーリスモの公式世界大会と遜色のないメンバーが顔をそろえる。
チームの威信とともに、賞金をかけたレースということで、全選手が真剣勝負で臨むはずだ。
年間でたった1戦しか開催されない夢の「選抜レース」の概要について、まずは詳しく説明しよう。
>>JEGT認定ドライバーによるグランツーリスモ公式戦の模様はコチラ
選抜戦に出場するのは、トップリーグ2024シリーズの上位8チームから各1名、さらにファン投票で選出された4名の合計12名。
世界レベルにあるJEGT出場選手のなかでも、まさにトップオブトップといえるメンバーが集結した。
プロ野球のオールスター戦のように、ファンにとっては夢の競演ともいえるだろう。
普段はチーム戦で戦うJEGTだが、選抜レースは選手個人の実力が試される一戦。
実績豊富な出場各選手にとっては、意地でも負けられない戦いだ。
選抜戦では、JEGTのレギュラーシーズンと同様に賞金が用意された。
単発の個人戦としては高額の、1位 25万円、2位 10万円、3位 5万円の総額40万円。
単なるエキシビションマッチではなく、真剣勝負の舞台だということだ。
グリッド順を決める予選スーパーラップと決勝レースに加えて、ポイントが加算されるハイパースプリントも取り入れられている。
選抜レースのレギュレーションは、自身も認定ドライバーである山中 智瑛選手(EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川)を中心に策定されている。
グランツーリスモを知り尽くした山中選手の設定したレギュレーションによって、予選から決勝まで手に汗握る展開となった。
各選手の意地のぶつかり合いとなったレースの模様を、記事で簡単に振り返ってみよう。
ただし、エキサイティングで見応えのあるレースを余すことなく楽しむためには、JEGT公式YouTubeチャンネルで公開されている動画をご覧いただくことをおすすめする。
出場選手「※」はファン投票選出選手
ゼッケン | 選手 | 所属チーム |
1 | 川上 奏 | Sengoku Gaming |
2 | 佐々木 拓眞 | KANTOモータースクール SCARZ |
3 | 長 和樹 | KOSHIDO RACING Ⅻ |
4 | 杉守 翔平 | ARTA |
5 | 瀬田 凛 | eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS |
6 | 鷲尾 拓未 | EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈川 |
7 | 石水 優夢 | MAZDA SPIRIT RACING with TC CORSE |
8 | 深谷 諄 | SPK e-SPORT Racing with TC CORSE |
9 | 後藤 優介※ | KANTOモータースクール SCARZ |
10 | 加藤 陸※ | EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈川 |
11 | 大原 悠暉※ | eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS |
12 | 奥本 博志※ | Sengoku Gaming |
予選スーパーラップでは、ディフェンディングチャンピオンSengoku Gamingから代表出場する川上 奏選手がいきなり1分37秒112の好タイムをマーク。
しかし、レギュラーシーズンでは涙を飲んだKANTOモータースクール SCARZの佐々木琢磨選手が、1分37秒を切る1分36秒986でトップタイムを更新。
このままポールポジションは決まったかに思われた予選終盤、大原 悠暉選手(eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS)と奥本 博志選手(Sengoku Gaming)が魅せてくれた。
セクター前半で全体ベストを更新する圧巻のアタック。
しかし、コース西側を走る後半区間でタイムを伸ばせず、結果的に唯一の1分36秒台を叩き出した佐々木選手がポールポジションを獲得。
2番手は奥本選手、3番手は杉守 翔平(ARTA)だった。
抽選によって組み合わせが決められたハイパースプリントは、全開では燃料が不足するという絶妙なレギュレーションによってエキサイティングなレースになった。
奥本選手と加藤 陸選手(EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈川)のマッチアップでスタートした第1レースは、2番手スタートの加藤選手が前をうかがう展開に持ち込む。
しかし、奥本選手が粘りの走りでポールトゥウイン。
佐々木選手と後藤 優介選手(KANTOモータースクール SCARZ)の同チーム対決となった第2レースは、ポールポジションの後藤選手がスタートで痛恨のミス。
僅差の争いではあったものの、スタートでポジションアップを成功させた佐々木選手が勝利を収めた。
若手同士の戦いとなった第3レースは、鷲尾 拓未選手(EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈川)、石水 優夢選手(MAZDA SPIRIT RACING with TC CORSE)が意地の張り合いを魅せるレース展開。
スタートで敢えてポジションを譲ったかのような動きをみせた石水選手だったが、逆バンク出口でわずかにミスをした鷲尾選手の前に立つ。
再三ポジションの入れ替わる激しいレースは、ファイナルラップの130Rで前に出た鷲尾選手が勝利。
瀬田 凛選手(eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS)と深谷 諄選手(SPK e-SPORT Racing with TC CORSE)の第4レースは、ポールポジションスタートの瀬田選手が終始冷静なレース運びをみせて逃げ切りで勝利を掴んだ。
第5レースは、杉守選手と長 和樹(KOSHIDO RACING Ⅻ)というベテラン同士の組み合わせ。
前半は落ち着いた展開だったが、ファイナルラップ後半はオーバーテイクスイッチの使い合いというエキサイティングな展開。
オーバーテイクスイッチの残量をわずかに残していた長選手が勝利という、ベテラン対決らしいクレバーなレースが印象的だった。
川上選手と大原選手による第6レースは、JEGTで4連覇を果たすSengoku Gamingに所属する世界チャンピオン経験もある川上選手に大原選手がどう食らいつくかに注目が集まる。
大原選手はポジションアップ果たす健闘をみせたものの、川上選手がさすがともいえる走りで結果はポールトゥウィン。
10周のスプリントレースは、オープニングラップから目まぐるしくポジションが入れ替わる展開。
ポールポジションスタートの佐々木選手だったが、奥本選手、杉守選手が相次いで襲いかかる。
3番手スタートの川上選手は、7番手辺りまで大きくポジションを落とした。
しかし、燃料消費率20倍で給油量が1秒/Lというレギュレーションから、「燃費を抑える作戦ではないか」というのが解説のニシケンこと西澤 健太氏の見立てだ。
一方のトップ争いは、佐々木選手、奥本選手、杉守選手が周回ごとに入れ替わる。
レースが動いたのは、やはりピットタイミングからだった。
5周目を終えたところで9選手が一斉にピットイン、さらに翌周には3選手が続く。
ピットインを終えた段階で、給油をしなかった加藤選手がトップに立った。
2番手に奥本選手、3番手に佐々木選手という上位勢。
しかし、8周目のホームストレートエンドの1コーナーで、佐々木選手が一気にトップを奪い返す。
レースはこのまま佐々木 拓眞選手(KANTOモータースクール SCARZ)がトップチェッカーを受け、結果的にポールトゥウィン。
2位は奥本 博志選手(Sengoku Gaming)、3位は粘りの走りをみせた鷲尾 拓未選手(EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈川)が入り賞金を獲得した。
順位 | 選手 | 所属チーム | HS | 決勝 | 合計 |
1 | 佐々木 拓眞 | KANTOモータースクール SCARZ | 4pt | 20pt | 24pt |
2 | 奥本 博志 | Sengoku Gaming | 4pt | 15pt | 19pt |
3 | 鷲尾 拓未 | EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈川 | 4pt | 11pt | 15pt |
4 | 川上 奏 | Sengoku Gaming | 4pt | 8pt | 12pt |
5 | 長 和樹 | KOSHIDO RACING Ⅻ | 4pt | 5pt | 9pt |
6 | 石水 優夢 | MAZDA SPIRIT RACING with TC CORSE | 0pt | 6pt | 6pt |
7 | 加藤 陸 | EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈川 | 0pt | 4pt | 4pt |
8 | 瀬田 凛 | eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS | 4pt | 0pt | 4pt |
9 | 深谷 諄 | SPK e-SPORT Racing with TC CORSE | 0pt | 3pt | 3pt |
10 | 後藤 優介 | KANTOモータースクール SCARZ | 0pt | 2pt | 2pt |
11 | 杉守 翔平 | ARTA | 0pt | 1pt | 1pt |
12 | 大原 悠暉 | eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS | 0pt | 0pt | 0pt |
2024シリーズの締めくくりとして、今回初めて開催された選抜レース。
結果的はレギュラーシーズンで悔しい想いをした佐々木 拓眞選手(KANTOモータースクール SCARZ)が、Sengoku Gamingの2選手を抑えての完全優勝を飾ってシーズンの溜飲を下げたことだろう。
誰が優勝してもおかしくないなか、勝利を掴んだ佐々木選手は優勝インタビューで喜びを爆発させた。
一方で、3位に入った鷲尾 拓未選手(EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈川)やスプリントレースで健闘した大原 悠暉選手(eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS)といった若手選手も活躍。
トップリーグのレベルの高さと選手層の厚さを実感するとともに、各選手の意地の張り合いによるシーズン以上の盛り上がりも感じた。
選抜戦に出場できるのは、トップリーグかつチームを代表する実力と人気を兼ね備えた選手だけだ。
チームとしてトップリーグの順位や出場を目指す一方、選抜レースが選手個人が目標とするような夢の舞台へ成長することに期待したい。
Text: 渡邉 篤
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