RACE REPORT
レースレポートJEGT2024シリーズ企業対抗戦は、2024年11月23日に今季の最終戦Rd.2を迎えた。
Rd.2の舞台は、ドライバーの腕がタイムに直結するといわれるインテルラゴス・サーキット。
企業対抗戦は社員ドライバーも出走ため、グランツーリスモ7のプレイレベルは一定ではない。
セッションごと、レース内での大きな順位変動を伴う波乱の展開が予想される。
Rd.1からのストーリーを考えるとドラマチックな幕切れとなった、企業対抗戦Rd.2の模様をたっぷりと紹介しよう。
企業対抗戦は、トップリーグ、チャレンジリーグとは大きく異なる点がある。
決勝レースが、2ヒート制になっていることだ。
企業対抗戦ならではの理由から設けられたフォーマットは、ドラマチックな展開を生み出す要素となっている。
Rd.2のレギュレーションとともに、企業対抗戦のフォーマットを紹介しよう。
企業対抗戦は、セッションによって出走できるドライバーに制限がある。
JEGTの開催するリーグ戦のなかで、唯一認定ドライバー以外の選手が出場するという特性があるためだ。
例えば、事前予選レースは、社員ドライバーのみとなっており、決勝レースへの出場権獲得は、エントラントの社員が握っているということになる。
また、社員ドライバーと認定ドライバーがそれぞれ出場する2ヒート制の決勝レースも、リーグをより盛り上げる要素といえるだろう。
ヒート1で社員ドライバーが掴んだポジションを守り切るのか、さらに上位でゴールするのかといった認定ドライバーの意地も見どころだ。
企業対抗戦Rd.2の舞台は、ブラジル、サンパウロ郊外にあるインテルラゴス・サーキット。
コース長は4,309mと短いものの、高速域からのブレーキング、インフィールドセクションのコーナリングとドライバーの腕を問われるコースだ。
レギュレーション
使用コース | インテルラゴス・サーキット |
周回数 | (ヒート1)7(ヒート2)10 |
使用タイヤ | (ヒート1)レーシングミディアム (ヒート2)レーシングミディアム/ ソフト ミディアムのみ使用義務あり |
タイヤ消耗倍率 | (ヒート1)5倍(ヒート2)9倍 |
燃料消費倍率 | (ヒート1)6倍(ヒート2)9倍 |
いつも波乱の展開となる企業対抗戦だが、事前予選レース、予選スーパーラップ、決勝レース ヒート1までは比較的落ち着いた展開を見せた。
しかし、そのままでは終わらないのが、企業対抗戦。
決勝レースのヒート2はチームごとにピット戦略が異なっていたこともあり、目まぐるしく順位の入れ替わる展開。
最終的に勝利を掴んだのは、Rd.1の雪辱に燃えるあのチームだった。
企業対抗戦の、全セッションの模様を詳しくお伝えしよう。
>>JEGT2024シリーズ企業対抗戦Rd.2最終リザルトはコチラ
予選事前レースのスターティンググリッドは、直前におこなわれたタイムアタックで決定される。
事前予選グループAは、ポールポジションスタートの川村 壮人選手(#33 NTT ComEng eSports)がオープニングラップから快走。
後続グループとの差を徐々に広げて、安全マージンを築く。
一方2番手以下では、開幕戦の出場がなかった秋葉 覇貴選手(#7 eスポーツスタジアム郡山)が、スタート直後から前をうかがうなど混戦模様。
最終結果は、秋葉選手(#7 eスポーツスタジアム郡山)の猛追を抑えきった川村選手(#33 NTT ComEng eSports)が、終始安定した走りをみせてポールトゥウィンを決めた。
3番手は、6番グリッドから3ポジションアップの岡村 康平選手(#787 Mazda E&T e-MOTORSPORTS 同好会 チームA)。
また、予選カットラインの5番手には、岡田 琥博(#25 MIE TOYOPET CLUB TEAM BTF SPIRIT)が入った。
グループBは、開幕戦勝利を惜しくも逃した#87 HKS e-MotorSportに乗る、尾田 結都選手がポールポジションからスタート。
後続では、初参戦の#18 IBARAKI TOYOPET e-NEのステアリングを握る田上 蒼竜選手が、2番手から本戦への初出場を狙う。
レースは大きな波乱もないまま、ポールポジションスタートの尾田選手(#87 HKS e-MotorSport)がそのままトップチェッカー。
2番手には田上選手(#18 IBARAKI TOYOPET e-NE)、3番手にはニノ高橋選手(#200 ニノンeモータースポーツ新潟)が続いた。
開幕戦とは異なる上位勢の顔ぶれで始まった予選スーパーラップ。
2番手アタックの川村 壮人選手(#33 NTT ComEng eSports)が1分30秒032の好タイムをマークした直後、小高 侑己選手(#25 MIE TOYOPET CLUB TEAM BTF SPIRIT)が1分30秒を切る驚異的なタイムで早くも最速タイムを塗り替えてトップに立った。
開幕戦の出場がなかった#7 eスポーツスタジアム郡山は、小倉 祥太選手が1分30秒215を記録して上位勢の一角に食い込んだ。
結局、1分29秒668という唯一の1分30秒切りをみせた、小高選手(#25 MIE TOYOPET CLUB TEAM BTF SPIRIT)がポールポジションを獲得。
2番手には川村選手(#33 NTT ComEng eSports)、3番手には小倉選手#7 eスポーツスタジアム郡山が続いた。
社員ドライバーによる決勝レースのヒート1は、フロントロースタートの2台がオープニングラップから抜け出す展開。
後方では、4番手スタートから1つポジションを上げた吉安 悠介選手(#87 HKS e-MotorSport)を先頭に複数台が3番手を争う。
一方、3番手スタートだった中河西 宏樹選手(#7 eスポーツスタジアム郡山)は、不自然な挙動を見せて大きく順位を下げる。
eモータースポーツは事故や故障がないといわれるが、機材トラブルという不測の事態もありえるということだ。
最終的には、スタートから快走をみせた堀 秀任選手(#25 MIE TOYOPET CLUB TEAM BTF SPIRIT)がポールトゥウィン。
2番手に川村 壮人選手(#33 NTT ComEng eSports)、3番手には田上 蒼竜選手(#18 IBARAKI TOYOPET e-NE)が入った。
中段の5番グリッドからのスタートとなった尾形 莉欧選手(#87 HKS e-MotorSport)が、オープニングラップからアグレッシブな走りをみせる。
まず、スタート直後の1コーナーで見事なオーバーテイクをみせて、5番手スタートから一気に3番手にジャンプアップ。
2番手を走行する佐藤 優人選手(#33 NTT ComEng eSports)との差を詰めるものの、ポジションアップには至らない。
逆に、徐々に差を詰めていた4番手を走行する岡村 康平選手(#787 Mazda E&T e-MOTORSPORTS 同好会 チームA)が、5ラップ目のホームストレートエンドで尾形選手をオーバーテイク。
接近戦の上位勢は、6ラップ目の終わりに全チームが相次いでピットイン。
多くのチームがソフトタイヤを選択するなか、尾形選手はミディアムタイヤという他チームと違う戦略をみせる。
ノーピット戦略を取る高橋 一樹選手(#41 WEINS_GR × AIRBUSTER)ら3チームを、タイヤ交換組が追いかける展開。
そして迎えたファイナルラップ、ノーピットでトップにいた高橋選手がついに捕まる。
また、このオーバーテイクのタイミングで、尾形選手が再度ポジションを奪い返して2番手に浮上した。
見かけ上のトップでゴールをしたのは千原 勇人選手(#25 MIE TOYOPET CLUB TEAM BTF SPIRIT)だったが、レース後のペナルティ裁定により1秒のタイム加算。
結果、尾形選手(#87 HKS e-MotorSport)が、スタートから4ポジションアップという劇的な勝利を掴んだ。
2位には岡村 康平選手(#787 Mazda E&T e-MOTORSPORTS 同好会 チームA)。
ペナルティのあった千原選手(#25 MIE TOYOPET CLUB TEAM BTF SPIRIT)の最終順位は3位となった。
5番手スタートという苦しい位置から見事に逆転で優勝した尾形 莉欧選手(#87 HKS e-MotorSport)は、Rd.1の雪辱を見事に果たした。
Rd.1では、ポールポジションでバトンを引き継いだものの、結果は惜しくも2位。
チームの期待を背負う認定ドライバーとしては、今戦に期する想いはあっただろう。
そして、Rd.2の勝利とともに、シリーズチャンピオンも獲得した。
また、ペナルティによる昇格という面に隠れてしまったが、実はピット戦略の違いも勝利を手繰り寄せた要因の1つだ。
タイヤ交換に踏み切ったチームのうち、尾形選手は唯一ミディアムタイヤを選択。
ソフトタイヤ勢がややトラクションを失うレース最終盤も、尾形選手だけは走りが安定していた。
粘り強くポジションを2番手にまで上げたことが、結果的に優勝へと結びついたといえる。
認定ドライバーらしい、見ごたえのあるレースをみせてくれた。
今シーズンの企業対抗戦は本戦で終了となるが、トップリーグは2025年1月12日(日)開催のRd.3を残している。
東京オートサロン2025の会場でオフライン開催されるトップリーグの最終戦は、会場で生で観戦することも可能だ。
いつもどおりJEGT公式YouTubeチャンネルでも生放送されるが、ぜひトップ選手のハンドルさばきを会場でみていただきたい。
TEXT: 渡邉 篤
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