RACE REPORT
レースレポートグランツーリスモ7を使用する国内リーグで最高峰を誇るJEGTが、2024年11月9日に2024シリーズの開幕を迎えた。
参加合計42チームの頂点に位置するトップリーグは、新フォーマットの採用や新規参入チームなど昨年からの大きな変革に注目が集まる。
変更されたレースフォーマットとあわせて、トップリーグの開幕戦の模様を詳しくお伝えしよう。
トップリーグでは、従来の決勝レースだけでなくハイパースプリントが追加された。
トップリーグの実力は拮抗しているため、予選スーパーラップの結果を決勝レースで逆転することは困難だったが、ハイパースプリントという一発逆転のレースでさらに楽しみが増す形だ。
シリーズポイントも獲得できるハイパースプリントと、開幕戦のレギュレーションをまずは紹介しよう。
>>2023年に開催されたハイパースプリントについてはコチラ
昨年までのJEGTでは決勝レースだけだったが、今シーズンは決勝レースの前にハイパースプリントが追加された。
ハイパースプリントは、わずか2周のJEGT独自のレースフォーマットだ。
2023年にスピンオフ企画として実施し、エキサイティングな展開が好評を博した。
なお、決勝レースとハイパースプリントには関連性はなく、それぞれにポイントが獲得できるレースとなる。
決勝レースのほうがポイント配分は高いものの、ハイパースプリントの結果もシリーズチャンピオン争いには大きく影響するはずだ。
ハイパースプリントで重要になるグループ分けとグリッド順は、予選スーパーラップの結果によって決定される。
グループ分けは以下のとおりだ。
グループA(3チーム) | 予選1位・6位・9位 |
グループB(3チーム) | 予選2位・5位・8位 |
グループC(4チーム) | 予選3位・4位・7位・10位 |
ハイパースプリントでのオーバーテイクは簡単ではないため、予選順位が高いほど有利になる。
一方で、短期決戦のハイパースプリントなら、逆転での1位という可能性も十分。
昨年以上に、シリーズポイント争いが激しくなることは間違いない。
開幕戦の舞台は、世界的にも評価の高い鈴鹿サーキット。
テクニカルなS字や高速でコーナリングする130Rなど、マシンとドライバーの総合力が試されるコースだ。
レギュレーション
使用コース | 鈴鹿サーキット |
周回数 | (ハイパースプリント)2周(決勝レース)12周 |
使用タイヤ | (ハイパースプリント)レーシングソフト
(決勝レース)レーシングハード/ ミディアム/ ソフト 全タイヤ使用義務あり |
タイヤ消耗倍率 | (ハイパースプリント)0倍(決勝レース)6倍 |
燃料消費倍率 | (ハイパースプリント)1倍(決勝レース)3倍 |
今季から採用されるハイパースプリントから決勝レースまで、トップリーグらしい見応え十分のレースとなった。
ハイパースプリントではノーポイントに終わった#52 KANTOモータースクール SCARZが決勝レースで勝利という、波乱含みの展開。
トップリーグのレースの模様を、事前に行われた予選スーパーラップも含めてたっぷりとお届けしよう。
予選スーパーラップは、開幕に先立って10月31日(木)にオンライン(クローズド)で開催。
全10チームが約1秒以内という、トップリーグの名にふさわしいハイレベルな争いを見せる。
圧巻のアタックは、6番手に出走した山本 英弥選手(#12 KOSHIDO RACING Ⅻ)。
全セクターでトップタイムを上回り、1分57秒019という好タイムでトップに立つ。
最後に出走した川上 奏選手(#1 Sengoku Gaming)がセクター2でタイム更新をする猛追を見せるも、わずか0.081秒届かず。
結局、#12 KOSHIDO RACING Ⅻがポールポジション、#1 Sengoku Gamingが2番手。
3番手には、#02 EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川が入った。
グループAは、スタート直後に3番手スタートの田代 寛朋選手(#127 eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS)が、前をいく寺島 信一朗選手(#523 日産サティオ佐賀)に対して内側からオーバーテイクを試みるもわずかに届かず。
後続の2台が争う隙に、ポールスタートの長 和樹選手(#12 KOSHIDO RACING Ⅻ)が見事にポールトゥウィン。
グループBは、スタート直後からレースが動いた。
2番手スタートの加藤 達彦選手(#54 MAZDA SPIRIT RACING with TC CORSE)が、素晴らしいスタートダッシュから1コーナーの飛び込みでトップに立つ。
しかし、太田 健選手(#1 Sengoku Gaming)が、続くヘアピンでポジションを奪い返してそのままトップフィニッシュ。
3番手スタートの杉守 翔平選手(#8 ARTA)が、NSXの特性を活かした完璧なスタートでトップに立った。
また、4番手スタートの久万田 崚選手(#105 SPK e-SPORT Racing with TC CORSE)も、ポジションを1つ上げて3番手。
最終的にはスタートダッシュを決めた杉守選手がトップチェッカーを受けた。
一方、高橋 拓也選手(#52 KANTOモータースクール SCARZ)は、2番手スタートながらまさかのノーポイント。
3グループ中唯一、スターティンググリッドと結果が異なるハイパースプリントとなった。
決勝レースは、1周目からピットが慌ただしくなる。
スタートでハードタイヤを選択した佐々木 拓真選手(#52 KANTOモータースクール SCARZ)、佐々木 唯人選手(#54 MAZDA SPIRIT RACING with TC CORSE)、植木 俊輔選手(#35 NISSAN × TRUST RACING)、辻村 亮介選手(#8 ARTA)が1周でピットイン。
ソフトタイヤに交換して、後方からの追い上げを図る戦略をとった。
レースは、上位陣が最後のピット作業を行った10ラップ目に大きく動く。
鎌田 智樹選手(#12 KOSHIDO RACING Ⅻ)、奥本 博志選手(#1 Sengoku Gaming)のピットアウトのタイミングで、ミディアムタイヤの佐々木選手が一気に2台のオーバーテイクに成功。
ミディアムタイヤのグリップ力を活かして広げた差を守りきり、佐々木選手(#52 KANTOモータースクール SCARZ)がそのままトップチェッカーを受けた。
2番手は奥本 博志選手(#1 Sengoku Gaming)、3番手には鎌田 智樹選手(#12 KOSHIDO RACING Ⅻ) 。
#52 KANTOモータースクール SCARZは、トップリーグ昇格後の初戦で大逆転という劇的な勝利を飾った。
ベテランから若手まで、実力実績ともに十分の選手を揃えた#52 KANTOモータースクール SCARZ。
初陣での初優勝というドラマチックな結果になった。
優勝インタビューには、決勝レースのステアリングを握った佐々木 拓真選手が登場。
まだ若干20歳ながら、世界の舞台を知るだけあって落ち着いた受け答えが印象的だった。
また、インタビュー内容から垣間見えたチーム戦略は、今年から昇格したとは思えないレベルの高さを感じさせる。
チャンピオン争いの行方に影響を与える、2024シリーズの中心的な存在になるのは間違いないだろう。
一方で、今季から開催されたハイパースプリントによって、ポイント争いは混迷を極めている。
決勝レースで見事に優勝を飾った#52 KANTOモータースクール SCARZだが、Rd.1終了時のポイントランキングは3番手。
予選スーパーラップ、ハイパースプリントで着実にポイントを重ねた#1 Sengoku Gamingがトップ、#KOSHIDO RACING Ⅻが2番手となっている。
シリーズチャンピオン争いの鍵は、ハイパースプリントが握るかもしれない。
他チームの巻き返しが気になるラウンド2は、2024年11月23日(土)だ。
開幕戦同様、JEGT公式YouTubeで中継される予定のため、ぜひ生でレースの興奮を味わってほしい。
Text: 渡邉 篤
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