RACE REPORT
レースレポートJEGT2023シリーズトップリーグの最終戦、ラウンドファイナルが2024年1月14日(日)に東京オートサロン2024内で行われた。
シリーズチャンピオンの行方を決める今レースは、シーズンを通じて唯一のオフライン大会。
多くのファンが見守るいつもとは違う雰囲気のなか、JEGTの誇るトップドライバーたちがどんな戦いをみせてくれるのかに注目が集まる。
また、今回は「e-SPORT EXPERIENCE」というテーマのもと、グランツーリスモを始めとするeスポーツにフォーカスを当てたイベントの一部として開催。
例年以上の注目を集めるなか、トップドライバーたちが最高のレースをみせてくれたラウンドファイナルの模様を詳しくご紹介しよう。
例年以上に実力が拮抗していて、チャンピオン争いの行方も全く予測できない今季のJEGTトップリーグ。
シリーズの行方を見守ろうと、オフライン会場には多くのファンが詰めかけた。
ラウンドファイナルの舞台となるサーキットと、冬場であることを忘れるほどの熱気に包まれた東京オートサロン2024内特設会場の模様をまずはお伝えしよう。
ラウンドファイナルの舞台に選ばれたのは、高速サーキットとして知られるイタリアのモンツァ・サーキット。
4つの高速区間を、シケインを含む低速コーナーがつなぐ形状となっている。
高速コースほどアグレッシブなオーバーテイクシーンに期待できるため、まさに最終戦の舞台にふさわしいサーキットだ。
ドライバー間の実力差があまりないJEGTトップリーグでは、レース中のオーバーテイクはなかなか難しい。
しかし、全開区間が長いモンツァ・サーキットなら、スリップストリームで車速を乗せたところからのシケイン飛び込みでのブレーキング勝負といった形で後方を走るチームにもチャンスは訪れるはずだ。
また、オフラインレースの独特の空気感と、観客の目の前で行われるドライバー交代。
数々の不確定要素が、モンツァでのレースをさらに面白く演出する。
東京オートサロン2024では「e-SPORT EXPERIENCE」として特設会場が設けられ、グランツーリスモの体験コーナーを初めとしたeスポーツ関連イベントが例年以上に盛り上がった。
e-SPORT EXPERIENCEの締めとして開催されたJEGTラウンドファイナルは、イベントスタートから会場はほぼ満席。
スタートを迎える頃には、観覧席左右や後方に立ち見のお客様も出るほどの注目を集めた。
レースは予選スーパーラップから世界レベルのトップ選手がコースアウトを喫するなど、今シーズンの過去2戦とは異なる。
また、戦前の予想通り、セミ耐久という長丁場の決勝レースでは目まぐるしく順位が変わる展開。
最終的には、今シーズン苦しんだ#02 EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川がようやく最終戦で今季初勝利を掴んだ。
混戦模様のシリーズチャンピオンの行方も気になる、ラウンドファイナルの模様を振り返ってみよう。
予選スーパーラップはポイントランキング下位チームからアタックをスタートし、後半になるほどタイムが更新されていくのだが、上位チームが苦しむという展開となった。
1番手でアタックをしたのは、今季ここまでまさかのポイントランキング最下位に沈む#777 ZIMA RACERSの石水 優夢選手。
ルーキーながら予選スーパーラップで強さを見せてきた石水選手が、いきなり1分48秒168の好タイムを記録。
後続チームのタイム更新が期待されるものの、杉守 翔平選手(#55 AUTOBACS)が1分48秒535を記録したほかは、各チームが1分49秒台という状況でいよいよ上位陣のアタックに移る。
上位陣の先陣を切ったのは、#02 EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川。
体調不良で欠場の鈴木 聖弥選手に変わって、予選スーパーラップ出場となった山中 智瑛選手だったが、まさかのコースアウトを喫し2分台という不本意なタイムに終わる。
続いてアタックしたシリーズチャンピオン争いをする小林 利徠斗選手(#1 Sengoku Gaming)、坪井 俊介選手(#54 TC CORSE Esports MAZDA)も、下位チームのタイムを超えられない流れは変わらない。
結局1番手で出走した石水 優夢選手(#777 ZIMA RACERS)のタイムは最後まで更新されることなく、今季初のポールポジションを獲得。
2番手には山本 英弥選手(#12 KOSHIDO RACING)、3番手は杉守 翔平選手(#55 AUTOBACS)というここにきて下位チームの底力を感じる予選スーパーラップとなった。
レースはオープニングラップの前半から激しいポジション争いが繰り広げられた。
まずは、2番手スタートの今里 駿斗選手(#12 KOSHIDO RACING)が、ポールポジションスタートの石水 優夢選手(#777 ZIMA RACERS)に最初のシケインから襲いかかる。
さらに、フロントスタートの2台が争っている間隙をついて、シリーズチャンピオンのかかる4番手スタートの川上 奏(#1 Sengoku Gaming)がトップグループとの差を一気に詰めた。
徐々に隊列が整いつつある1ラップ目後半から注目を集めたのは、予選スーパーラップでまさかのスピンを喫し最後尾スタートとなった山中 智瑛選手(#02 EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川)。
オープニングラップ終盤には6番手まで上げていた山中選手は、3ラップ目には4番手、4ラップ目に3番手と順調にポジションを上げ、ついに5ラップ目にトップに立つ。
唯一のソフトタイヤスタートというアドバンテージはあったものの、最後尾からの驚異的な追い上げで#02 EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川がレースをリードするポジションについた。
ハードタイヤスタートのチームが、6ラップ目に最初のピットストップを迎える。
ソフトタイヤスタートの山中選手は7ラップ目にピットイン。
#02 EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川は、スームズに2人目の鷲尾 拓未選手にスイッチ。
その後、各チーム最初のピットインが終わった段階で、鷲尾選手がトップを快走。
ドライバー交代直後の2番手は今村 駿佑選手(#1 Sengoku Gaming)、3番手に佐々木 唯人選手(#54 TC CORSE Esports MAZDA)というポジションだったが、ソフトタイヤ装着の佐々木選手がハードタイヤの今村選手をかわして2番手にポジションアップ。
タイヤ差を活かしてギャップを広げるべくプッシュを続ける。
レースは3番手を走行する今村 駿佑選手(#1 Sengoku Gaming)を皮切りに、13ラップ目から最終ドライバーへの交代が始まる。
注目は、今シーズン苦しんできた#02 EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川の1勝と、#54 TC CORSE Esports MAZDAと#1 Sengoku Gamingのシリーズチャンピオン争いだ。
最後のピットインも無難にこなした#02 EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川がそのままトップでコースに戻り、第3スティントの森本 健太選手で逃げ切り体制。
一方、上位でゴールしたチームがシリーズチャンピオンを獲得する#54 TC CORSE Esports MAZDAは加藤 達彦選手が2番手、3番手に奥本 博志選手(#1 Sengoku Gaming)というポジションでドライバー交代を終え、勝負の行方やコース上の争いに絞られた。
なんとか逃げ切りを図りたい加藤選手はペースが上がらず、後方から追い上げるソフトタイヤの奥本選手にじわじわとその差を詰められる。
そして、迎えた20ラップ目、ついに奥本選手が序盤の高速コーナーで加藤選手をオーバーテイク。
レースはこのまま森本 健太選手(#02 EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川)がマージンを守りきりトップチェッカー。
2位は最終盤でポジションを上げた奥本 博志選手(#1 Sengoku Gaming)、3位はこちらも最終盤でポジションを上げた宮園 拓真選手(#105 TC CORSE SPK e-SPORT Racing with TOYO TIRES)となった。
苦しいレース展開となった加藤 達彦選手(#54 TC CORSE Esports MAZDA)は4位となった。
JEGT2023シリーズトップリーグを制したのは、#1 Sengoku Gaming。
しかも、最終戦での逆転という展開でJEGT初の2連覇を成し遂げた。
一方で、ラウンドファイナル自体は、今シーズンなかなか結果の出なかった#02 EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川が予選最下位からの大逆転で優勝。
シリーズチャンピオン争い、ラウンドファイナルのレース結果ともに劇的な幕切れとなった。
今シーズンの展開を見ると、来シーズン以降の戦いはさらに厳しく行方の分からない戦いになることが予測される。
#1 Sengoku Gamingの2連覇という結果だけをみると盤石にも思えるが、シリーズ全体をみると3戦すべて優勝チームが異なるためどのチームが優勝してもおかしくなかった。
また、トップ3以下のチームをみても、シーズンを通して予選上位に顔を見せていた#12 KOSHID RACINGやレース終盤の粘り強さが光った#105 TC CORSE SPK e-SPORT Racing with TOYO TIRESなども上位争いに加わる可能性が十分。
さらに、参戦自体は未定だが入れ替えによってトップリーグに加わる#52 SCARZと#523 日産サティオ佐賀の存在も気になる。
多くのファンが見守るなか、劇的な幕切れとなったJEGT2023シリーズトップリーグ。
来季はどんな戦いを見せてくれるのか、今から楽しみだ。
Text:渡邉 篤
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