RACE REPORT
レースレポート10月の開幕から約1ヶ月、JEGT2023シリーズトップリーグのRd.2が2023年11月18日(土)に開催された。
今回は、チームバトルとしてJEGT史上初の天候変化を伴う設定を採用。
ドライバーは、いつものライバルだけではなく刻一刻と変わる天候とも戦うことになった。
Rd.1で好評だったエキシビションレースも盛り上がった、Rd.2の模様を詳しくお伝えしよう。
実況鈴木学氏、ゲスト解説谷口信輝氏、解説西澤健太氏というJEGTの誇る出演者がRd.2もレースを盛り上げた。
さらに、スポーツDJのAlee氏の安定した進行と、アシスタントMCの沢すみれさんの光るコメントが脇を固める。
JEGTで初の天候変化に実況陣も興味津々の様子で、特に実車で雨の難しさを知る谷口信輝氏は「本当におもしろい」というコメントを連発。
使用コースとエキシビジョンマッチの様子をまずは紹介しよう。
実施形態 | オンライン |
使用コース | スパ・フランコルシャン |
コースコンディション | スーパーラップ:S01 乾燥した 雲のない 快晴 午後 ヒート1:ランダム / R06 / R06 ヒート2:R08 / ランダム / ランダム / R08 / ランダム |
レース形式 | 予選スーパーラップ → レース第1ヒート → レース第2ヒート |
周回数 | 【ヒート1】7周 【ヒート2】11周 |
出場チーム数 | 10チーム |
Rd.2の舞台は全長約7kmにも及ぶ名門コース、スパ・フランコルシャン。
オー・ルージュから全開で駆け上がるラディヨン、ケメルストレートといった高速区間が特徴的なサーキットだ。
一方で、下りながらのコーナリングになるブリュッセルやプーオン、最終コーナーのバスストップシケインなどのテクニカル要素もあり、ドライバーの腕が求められる。
さらに、今回はJEGTで初めて天候変化をレギュレーションに盛り込んだ。
山間にある実際のコースも、スパウェザーと愛称がつくほど天候が変わりやすい。
天候の変化に対応するドライバーやチーム戦略にも注目が集まる。
Rd.1で好評だったエキシビションマッチも、人気ストリーマーのSPYGEA氏、プロ格闘ゲーマーのどぐら氏を招いて開催。
谷口信輝氏を相手に善戦したRd.1に引き続き参加する沢すみれさんが、ゲームプレイに長けた両氏にどこまで迫れるのかに注目が集まった。
昨年の東京オートサロンにも参加しゲームプレイ経験も豊富なSPYGEA氏と、プロゲーマーとしてコントローラー捌きの上手いどぐら氏がゲーム序盤を引っ張る展開。
やや出遅れた沢すみれさんだったが、動画企画で山中 智瑛選手と特訓を積んだ成果かレースが進むにつれトップ争いに加わる。
終盤に差し掛かると、3者がお互いに車体をぶつける肉弾戦の様相を呈し、最後はプロ格闘ゲーマーのどぐら氏がトップチェッカー。
しかし、ゲーム上のペナルティ判定によって、最終順位は沢さんの優勝となった。
シリーズチャンピオンを目指す各チームにとって、Rd.2は重要な意味を持つ。
Rd.1で思い通りの結果が残せなかったチームも、Rd.2の結果次第ではファイナルラウンドでの逆転の可能性が残るためだ。
初の天候変化採用によって、大きな順位変動もあったトップリーグRd.2の模様をお伝えしよう。
予選スーパーラップでは天候の変化は設けられず、各ドライバーがスパ・フランコルシャンをどう攻略するかが注目ポイント。
解説の西澤健太氏が2分15秒前後と予想するなか、2分14秒台を4選手が記録するなどトップリーグのレベルの高さを感じた予選となった。
結果は石水優夢選手(#777 ZIMA RACERS)が、2分14秒360という唯一の2分14秒台前半を叩き出しトップタイム。
2番手は鍋谷奏輝選手(#105 TC CORSE SPK e-SPORT Racing with TOYO TIRES)、3番手に奥本博志選手(#1 Sengoku Gaming)が続いた。
順位 | No. | エントラント名 | ドライバー | タイム |
1 | 777 | ZIMA RACERS | 石水 優夢 | 2’14″360 |
2 | 105 | TC CORSE SPK e-SPORT Racing with TOYO TIRES | 鍋谷 奏輝 | 2’14″535 |
3 | 1 | Sengoku Gaming | 奥本 博志 | 2’14″637 |
4 | 02 | EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈 | 鈴木 聖弥 | 2’14″675 |
5 | 127 | eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS | 瀬田 凛 | 2’15″266 |
6 | 12 | KOSHIDO RACING | 今里 駿斗 | 2’15″277 |
7 | 54 | TC CORSE Esports MAZDA | 佐藤 真太朗 | 2’15″357 |
8 | 11 | KOSHIDO Jr.RACING | 佐久間 俊一 | 2’15″855 |
9 | 35 | NISSAN × TRUST RACING | 新川 真也 | 2’16″325 |
10 | 55 | AUTOBACS | 滝田 歩夢 | DNS |
決勝レースからは、いよいよ天候の変化が適用される。
雨が降ることはわかっているものの、いつどれくらいの量なのかは予測できないなかで各チームはレースに臨む。
ポールポジンションからスタートした松山 雄大選手(#777 ZIMA RACERS)が、レース序盤は快走。
しかし、4ラップ目終盤に降り出した雨によって、大きな順位変動が起こる。
一気に暗くなった空から雨を予測して3ラップ目終了時にピットインをしたトップの松山選手対して、後続の今村駿佑選手(#1 Sengoku Gaming)、加藤 達彦選手(#54 TC CORSE Esports MAZDA)、黒畑 蓉選手(#12 KOSHIDO RACING)などは雨が降り始めた5ラップ目もスリックタイヤのままコース内にステイ。
結果は、5ラップ目にトップに立った加藤選手(#54 TC CORSE Esports MAZDA)がそのままトップチェッカー。
レース後の裁定により2番手は黒畑選手(#12 KOSHIDO RACING)、3番手は今井 慶春選手(#11 KOSHIDO Jr.RACING)となった。
順位 | No. | エントラント名 | ドライバー | タイム | ペナルティ |
1 | 54 | TC CORSE Esports MAZDA | 加藤 達彦 | 16’37″775 | – |
2 | 12 | KOSHIDO RACING | 黒畑 蓉 | 16’42″111 | +3秒 |
3 | 11 | KOSHIDO Jr.RACING | 今井 慶春 | 16’44″773 | +3秒 |
4 | 1 | Sengoku Gaming | 今村 駿佑 | 16’45″988 | +7秒 |
5 | 55 | AUTOBACS | 須賀 崇 | 16’49″534 | – |
6 | 105 | TC CORSE SPK e-SPORT Racing with TOYO TIRES | 深谷 諄 | 17’01″908 | – |
7 | 777 | ZIMA RACERS | 松山 雄大 | 17’02″835 | – |
8 | 127 | eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS | 佐久間 輝 | 17’09″203 | +3秒 |
9 | 35 | NISSAN × TRUST RACING | 上野 柊斗 | 17’16″271 | – |
10 | 02 | EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈 | 山中 智瑛 | 17’17″135 | – |
#1【競技規則第Ⅱ条 ③・⑥ 他車への押し出し・弾き出し・衝突行為】 #02・#105に対して(L2 / T5)警告 / +3秒
#1【競技規則第Ⅱ条 ③・⑥ 他車への押し出し・弾き出し・衝突行為】 #02に対して(L2 / T7-8)+1秒
#1【競技規則第Ⅱ条 ② 直線で後続車両に対する妨害行為】 #12に対して(L7/ T19)+3秒
#11【競技規則第Ⅱ条 ③・⑥ 他車への押し出し・弾き出し・衝突行為】 #127に対して(L4 / T6)+3秒
#12【競技規則第Ⅱ条 ③・⑥ 他車への押し出し・弾き出し・衝突行為】 #105に対して(L2 / T10)+3秒
#127【競技規則第Ⅱ条 ③・⑥ 他車への押し出し・弾き出し・衝突行為】 #105に対して(L4 / T5)+3秒
Rd.2の最終順位を決める決勝レースヒート2は、ヒート1と同様に天候変化を盛り込んだレギュレーションで争われた。
スタート時から雨の降るなか、ポールポジションでスタートした佐々木 唯人選手(#54 TC CORSE Esports MAZDA)が序盤から後続を離して独走体制を築く。
一方で、序盤から驚異的追い上げをみせたのが6番手スタートの宮園 拓真(#105 TC CORSE SPK e-SPORT Racing with TOYO TIRES)。
雨雲が抜けた2ラップ目、インターミディエイトタイヤ(ドライとウェットの中間タイヤ)のグリップ力を発揮できる路面状態のなか一気に2番手まで順位を上げた。
レース結果は、終始安定した走りをみせた佐々木選手(#54 TC CORSE Esports MAZDA)がポールトゥウィンでチーム初優勝を獲得。
2位は4番手スタートの小林 利徠斗選手(#1 Sengoku Gaming)、3位は猛追による消耗からタイヤ交換を余儀なくされた宮園選手(#105 TC CORSE SPK e-SPORT Racing with TOYO TIRES)が入った。
順位 | No. | エントラント名 | ドライバー | タイム | ペナルティ |
1 | 54 | TC CORSE Esports MAZDA | 佐々木 唯人 | 27’58″695 | – |
2 | 1 | Sengoku Gaming | 小林 利徠斗 | 27’59″808 | – |
3 | 105 | TC CORSE SPK e-SPORT Racing with TOYO TIRES | 宮園 拓真 | 28’04″136 | – |
4 | 12 | KOSHIDO RACING | 長 和樹 | 28’10″083 | – |
5 | 55 | AUTOBACS | 杉守 翔平 | 28’15″979 | – |
6 | 127 | eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS | 堤口 直斗 | 28’16″182 | – |
7 | 02 | EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈 | 森本 健太 | 28’18″921 | – |
8 | 35 | NISSAN × TRUST RACING | 植木 俊輔 | 28’21″684 | +2秒 |
9 | 777 | ZIMA RACERS | 辻村 亮介 | 28’23″432 | +3秒 |
10 | 11 | KOSHIDO Jr.RACING | 岡村 康平 | DNF | – |
#02【競技規則第Ⅱ条 ④ ブレーキ中、コーナー進入直前の進路変更】 (L3 / T18-19)警告
#35【競技規則第Ⅱ条 ③・⑥ 他車への押し出し・弾き出し・衝突行為】 #127に対して(L6 / T18-19)+2秒
#127【競技規則第Ⅱ条 ③・⑥ 他車への押し出し・弾き出し・衝突行為】 #35に対して(L2 / T18-19)警告
#777【競技規則第Ⅱ条 ③・⑥ 他車への押し出し・弾き出し・衝突行為】 #11 / #127に対して(L2 / T15)警告
#777【競技規則第Ⅱ条 ③・⑥ 他車への押し出し・弾き出し・衝突行為】 #127に対して(L5 / T6-7)+3秒
#777【競技規則第Ⅱ条 ③・⑥ 他車への押し出し・弾き出し・衝突行為】 #02に対して(L6 / T18-19)警告
順位 | No. | エントラント名 | Rd.1 Heat1 | Rd.1 Heat2 | 小計 | Rd.2 Heat1 | Rd.2 Heat2 | 小計 | 合計 |
1 | 54 | TC CORSE Esports MAZDA | 2 | 15 | 17 | 8 | 25 | 33 | 50 |
2 | 1 | Sengoku Gaming | 8 | 25 | 33 | 0 | 13 | 13 | 46 |
3 | 105 | TC CORSE SPK e-SPORT Racing with TOYO TIRES | 1 | 18 | 19 | 0 | 15 | 15 | 34 |
4 | 12 | KOSHIDO RACING | 6 | 6 | 12 | 6 | 12 | 18 | 30 |
5 | 02 | EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈川 | 4 | 12 | 16 | 0 | 6 | 6 | 22 |
6 | 55 | AUTOBACS | 0 | 10 | 10 | 1 | 10 | 11 | 21 |
7 | 127 | eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS | 0 | 8 | 8 | 0 | 8 | 8 | 16 |
8 | 35 | NISSAN × TRUST RACING | 0 | 4 | 4 | 0 | 4 | 4 | 8 |
9 | 11 | KOSHIDO Jr.RACING | 0 | 1 | 1 | 4 | 1 | 5 | 6 |
10 | 777 | ZIMA RACERS | 0 | 2 | 2 | 0 | 2 | 2 | 4 |
※ヒート1において、#1 Sengoku Gamingに追加裁定が必要とされる事象(L7/ T19における直線での後続車両に対する妨害行為に関連)が確認されたため、ヒート1の獲得ポイント(2pt)およびヒート2の獲得ポイント(5pt)から計7ptを減算
今回JEGTで初めてレギュレーションに採用した、天候の変化。
降り始めや雨量、さらにはいつ止むのかはゲーム側でランダムに決定されるため運営側にすら予測できない。
ゲーム内のウェザーマップを見ながら、早期にタイヤ交換をするのかコース上に留まるのかといった判断を各チームやドライバーが瞬時に行う。
次戦、ファイナルラウンドは東京オートサロン2024内でオフラインレースとして行われる。
天候の設定など細かいレギュレーションは不明だが、ステージ上という緊張感や物理的なドライバー交代といった不確定要素があるだけに、レース展開の予測は困難だ。
チームが指示を出す様子や選手の息づかいまで感じられるオフラインレースは、中継で観戦する以上の興奮を味わえる。
2024年1月14日(日)午後、足を運べる方は東京オートサロン2024でぜひ生の迫力を味わっていただきたい。
また、もちろんJEGT公式YouTubeチャンネルでも生中継を行うので、不確定要素のあるオフラインレースを会場に行けない方も自宅や出先で楽しんでいただけるはずだ。
Text: 渡邉 篤
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