RACE REPORT
レースレポート昨年度のJEGTシリーズで初めて開催された企業対抗戦。
セッションや周回ごとの大きな順位変動など、トップリーグとは違った魅力のあるレースとしてファンの方からも支持を集めた。
JEGT2023シリーズでも、昨年に引き続きグランツーリスモを使用した企業対抗戦を開催。
トップリーグと同日の2023年10月9日に、緊張の開幕戦を迎えた。
参加チームも増え、昨年以上の白熱したレース展開となったJEGT2023シリーズ企業対抗戦Rd.1の模様をお伝えしよう。
JEGT2023シリーズ企業対抗戦Rd.1では、昨年の10チームを大きく上回る17チームがエントリー。
また、参加チームをみると昨年にはなかった特徴もあり、今シーズンのさらなる盛り上がりを期待させる。
まずは、企業対抗戦の基本事項と新たなエントラント企業について紹介しよう。
JEGTの企業対抗戦は原則として参加に制限はなく、チーム構成などの条件さえ満たし法人格を持っていればどんな業種の企業でもエントリーできる。
また、JEGT認定ドライバー以外の選手が活躍できるチームレギュレーションになっているのも、企業対抗戦の大きな特徴だ。
各チームには、運営法人に6か月以上の勤務実績がある役員または従業員を1名以上登録・出走させる義務が課されている。
このレギュレーションにより各チームの戦力均衡が図られ、極端にハイレベルな争いにならないため、一般のドライバーでもレースを存分に楽しめる。
JEGT2023シリーズ企業対抗戦では参加企業数や業種が広がったことも嬉しい変化だ。
楽器や音響機器等で良く知られるヤマハ株式会社(#135 Yamaha esports Boosters)やシステムインテグレーターのNTTコムエンジニアリング株式会社(#33 NTT ComEng eSport Racing)の参加に加え、株式会社XENOZが運営するプロゲーミングチーム#52 SCARZは、国内のeスポーツシーンで長い歴史と多数の実績を誇る。
また、自動車ディーラーが結成したチームの新規参加も目立つ。
株式会社日産サティオ佐賀(#523 日産サティオ佐賀)や三重トヨペット株式会社(#25 MIE TOYOPET BTF SPIRIT CLUB TEAM)が新規参加したほか、ウエインズトヨタ神奈川株式会社は#103 WEINS CLUB TEAMを新たに追加した。
eモータースポーツの普及を実感するとともに、JEGTの目指すべき方向の1つが形になってきたとも言えるだろう。
企業対抗戦は参加企業の社員をはじめとする関係者が楽しむことが第一義ではあるが、認定ドライバー枠に名を連ねるのはトップリーグでも戦える実力者ばかりだ。
グランツーリスモの世界チャンピオン経験者で実車のレーシングドライバーでもある冨林 勇佑選手(#504 WEINS_GR × AIRBUSTER) や昨年の全国都道府県対抗e スポーツ選手権U-18部門で2連覇を果たした佐々木 拓眞選手(#52 SCARZ)といった豪華な顔ぶれが並ぶ。
高い技術をもつJEGT認定ドライバーが参加することで、実力差のあるさまざまなドライバーがいてもレース全体のレベルを一定に維持できる。
参加者だけが盛り上がるのではなく、コンテンツとして視聴者に楽しんでもらうこともeモータースポーツの普及には不可欠だ。
JEGT2023シーズン企業対抗戦でもっとも大きく変わったポイントは、全チームが決勝レースに出られなくなった点だ。
参加チームの増加に伴って、2組に分けられた予選レースのそれぞれ上位4チームと、5位以下のうちタイムの良かった2チームが決勝レースに進出。
それ以外のチームは、11位〜17位を決めるコンソレーションレースに進む。
予選落ちは避けたい各チームが緊張感をもって臨んだレースは、新規参戦チームの台頭もあり白熱した展開となった。
各セッションの模様を振り返ってみよう。
>>企業対抗戦Rd.1の詳しいリザルトとレギュレーションはこちら
予選は、グリッド順を決めるタイムアタックとレースの2セッションで行われる。
タイムアタックでは、上位6チームが2秒以内という混戦模様。
今年から参戦したチームも上位に食い込むなど、レース結果に注目が集まる。
タイムアタックのポールポジションは、甲斐 陽翔選手(#103 WEINS CLUB TEAM)。
続く予選レースは、同じく#103 WEINS CLUB TEAMの橋本 理選手が順位を守り切って1番手。
2番手以降は井奥 健太選手(#135 Yamaha esports Boosters)、川村 壮人選手(#33 NTT ComEng eSport Racing)、木村 歩夢選手(#523 日産サティオ佐賀)が続き、全て今年初参加(新体制のチーム含む)のチームが決勝レースに駒を進めた。
予選グループBのタイムアタックには、2刀流ドライバーとして注目の冨林 勇佑選手(#504 WEINS_GR × AIRBUSTER)が出場。
グループAも含めて最速の1’58″361をマークし、実力を見せつけた。
レースはグループA同様、新参戦のチームが上位を独占。
6番手スタートの後藤 優介選手(#52 SCARZ)が驚異の追い上げをみせ、1番手で予選レースを通過。
以下、大石 雄太(#19 HOKUEI Racing)、市井 智也選手(#104 TOYO TIRE eモータースポーツ部)、尾田 結都選手(#87 HKS e-MotorSport) がそれぞれ決勝進出を決めた。
今シーズンから、グループA、グループBそれぞれの予選下位チームによるコンソレーションレースが新たに行われた。
シリーズチャンピオンに影響する、順位を確定させる意味合いもある。
予選レースでは#87 HKS e-MotorSport以外、上位陣を新規参入チームが独占するという結果だっただけに、昨年から参加しているチームは巻き返しを図りたいところだ。
結果は、予選グループAで6位に沈んだ#43 Garaiyaの深川 英寿選手が見事にトップチェッカー。
また、2位には#8 AUTOBACS CLUB TEAMの池内 比悠選手が入った。
いずれも企業対抗戦に初年度から参加しているチームで、意地を見せた格好だ。
予選レースを勝ち進んだ合計10チームで争われる決勝レース。
なお、グリッド順は、予選レースのフィニッシュタイムによって決定される。
レースは、スタートでのタイヤ選択が最終順位に大きく影響を与える展開となった。
ポールポジションスタートの岡田 衛選手(#103 WEINS CLUB TEAM)がソフトタイヤを選択する一方、2番手の平井 睦輝選手は(#135 Yamaha esports Boosters)はスタートでミディアムタイヤをチョイス。
大きくレースが動き始めたのは4〜5ラップ目にかけての各車がピットインをするタイミングだった。
トップを走る岡田選手はミディアムタイヤに交換し、ソフトタイヤに交換した平井選手、吉田 稜汰朗選手(#523 日産サティオ佐賀)、佐々木 拓眞選手(#52 SCARZ)が一気に接近。
各車が激しいバトルを繰り広げる間隙をぬって、平井選手がトップに躍り出る。
その後、佐藤 優人選手(#33 NTT ComEng eSport Racing)、尾形 莉欧選手(#87 HKS e-MotorSport)らソフトタイヤ勢がそれぞれ追い上げる展開のままレースはフィニッシュ。
平井選手(#135 Yamaha esports Boosters)が、混戦のレースを制して初優勝。
2位には5番手から見事な追い上げを見せた佐々木選手(#52 SCARZ)、3位は佐藤 優人選手(#NTT ComEng eSport Racing)が入った。
結果を見ると、今年から参戦したチームが、予選の勢いそのままに表彰台を独占。
トップリーグ同様に、企業対抗戦も大きな勢力図の書き換えを予感させる開幕戦となった。
2023シリーズの企業対抗戦は過去最多の17チームが参戦し、予想通りの盛り上がりを見せる。
運営母体もさまざまな業種が参加し、マシンのリバリーもバラエティ豊かだ。
もちろん、参加ドライバーを認定ドライバーのみで固めているトップリーグとレベルは異なるが、一般ドライバーならではのアグレッシブな戦いも見どころのひとつ。
企業対抗戦にも認定ドライバーが出場しているため、速さの異なる混走状態となることでオーバーテイクも多く発生する。
まるでリアルのスーパーGTのように心理戦までも繰り広げられるトップリーグと、目まぐるしい展開を見せる企業対抗戦。
どちらが上というものではなく、さまざまな見方、楽しみ方ができるのがJEGTの魅力だ。
企業対抗戦のRd.2は、トップリーグRd.2と同日の2023年11月18日(土)にJEGT公式YouTubeチャンネルで生中継される。
ぜひバラエティに富んだ真剣勝負を楽しんでいただきたい。
Text: 渡邉 篤
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