RACE REPORT
レースレポート2023年1月14日(土)に迫った、JEGT2022シリーズ最終戦となるRd.3。
今シーズン唯一のオフライン開催となる本大会に先立って、2023年1月6日(金)に予選スーパーラップがおこなわれた。
熾烈なシリーズチャンピオン争いを繰り広げるトップリーグ全10チームが、最終戦の命運を握る1発勝負のタイムアタックに挑む。
大きな波乱が起こった、予選スーパーラップの模様をお届けしよう。
Rd.3の舞台に選ばれたのは、かつてはF1も開催された日本を代表するサーキットの1つ富士スピードウェイ。
また、Rd.3は予選、決勝を通じて、JEGTで初めてグランツーリスモ7を使用しての大会となっている。
使用コースの特徴と詳しいレギュレーションを紹介しよう。
富士山の麓、山梨県にある富士スピードウェイは、全長4,563m の国際規格サーキットだ。
全長の実に3分の1にも及ぶ1,475mの世界屈指の長いホームストレートが特徴で、高速コースとして知られる。
一方で、コース後半ではライン取りと繊細なアクセルワークが求められるテクニカルセクションも控えており、クルマの性能とドライバーの腕、どちらが欠けてもタイムを出すことはできない。
実施形式 | オンライン形式 |
使用ソフトウェア | グランツーリスモ7 |
使用コース | 富士スピードウェイ |
タイム計測方法 | スーパーラップ形式(アウトラップ1周/アタックラップ1周) ※審議制度あり |
燃料消費及びタイヤ摩耗 | なし |
使用可能タイヤ | レーシングハード |
Rd.3の予選スーパーラップは、各チームにとってこれまで以上に重要な意味を持つ。
オフライン開催となるRd.3の決勝レースは、1ヒートのみとなっているためだ。
決勝レースを有利な展開に持ち込むためにも、1つでも上のポジションを確保しておきたい。
各チームの思惑がぶつかるRd.3予選スーパーラップの模様を、前後半にわけて詳しくお伝えしよう。
予選スーパーラップは、Rd.2終了時点のポイントランキング下位から順にアタックとなる。
トップバッターは、今戦でマシンを、トヨタ スープラGT500’97に変更した#11 今井選手(KOSHIDO Jr. RACING)。
全体を通じて攻めの走りを見せたが、コーナリング中の細かなトラクションロスと修正舵が響き1:39.317にとどまった。
2番手は#35 五木選手(NISSAN × TRUST RACING)が堅実な走りを見せて、1:38.497をマーク。
一旦のターゲットタイムになるかに思われたが、ここから連続4チーム、トップバッターから数えると実に6チームが連続してファステストを更新するという珍しい展開となる。
まずは、#11 KOSHIDO Jr. RACINGと同様にトヨタ スープラGT500’97を投入した、#12 長選手(KOSHIDO RACING)が1:38.484を記録すると、続く#127 荒木選手(eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS)が1:38.435で更新。
さらに、5番手出走の#105 鍋谷選手(TC CORSE SPK e-SPORT Racing)が1:38.359ですぐさまトップに躍り出る。
しかし、続く#888 奥本選手(Sengoku Gaming)が圧巻の走りをみせて、ここまで唯一の37秒台となる1:37.848をマーク。
上位陣のさらなるタイム更新に注目が集まるところだったが、#54 龍選手(TC CORSE Esports MAZDA)は1:38.214でタイム更新とはならず、連続ファステストラップの更新はここで途絶えた。
残すは上位3チーム。
決勝レースのグリッドはシリーズチャンピオンの行方にも大きく関わるだけに、予選スーパーラップできっちりとポジションを確保しておきたいところだ。
まず、ポイントランキング3位につける#777 久万田選手(D’station Racing)が現在トップの#888 奥本選手のタイムに挑んだものの、1:38.176と惜しくも0.3秒届かず2番手タイム。
Rd.2で初優勝を飾り、ポイントランキングでも2位に躍り出て勢いに乗る#55 杉守選手(ARTA)は、1:38.140で#777 久万田選手を上回るもののトップタイム更新には至らない。
最後にアタックしたのは、Rd.2の予選スーパーラップで他チームを寄せ付けないタイムで関係者を驚かせた#01 宮園選手(EVANGELON e-RACING with 広島マツダ)。
しかし、1コーナー立ち上がりでテールをわずかにスライドさせてしまったタイムロスが響き、1:38.341というまさかの5番手に沈んだ。
予選スーパラップの結果、唯一の37秒台をマークした#888 奥本選手(Sengoku Gaming)がポールポジションを獲得。
2番手は#55 杉守選手(ARTA)、3番手には#777 久万田選手(D’station Racing)が入った。
Pos | Num | Team | Driver | Time | Gap |
PP | #888 | Sengoku Gaming | 奥本 博志 | 1:37.848 | – |
2nd | #55 | ARTA | 杉守 翔平 | 1:38.140 | +0.292 |
3rd | #777 | D’station Racing | 久万田 崚 | 1:38.176 | +0.328 |
4th | #54 | TC CORSE Esports MAZDA | 龍 翔太郎 | 1:38.214 | +0.366 |
5th | #01 | EVANGELION e-RACING with 広島マツダ | 宮園 拓真 | 1:38.341 | +0.493 |
6th | #105 | TC CORSE SPK e-SPORT Racing | 鍋谷 奏輝 | 1:38.359 | +0.511 |
7th | #127 | eM福岡 エンタテ!区 LEGENDS | 荒木 祐樹 | 1:38.435 | +0.587 |
8th | #12 | KOSHIDO RACING | 長 和樹 | 1:38.484 | +0.636 |
9th | #35 | NISSAN × TRUST RACING | 五木 隆太郎 | 1:38.497 | +0.649 |
10th | #11 | KOSHIDO Jr.RACING | 今井 慶春 | 1:39.317 | +1.469 |
予選スーパーラップの結果によって、シリーズチャンピオン争いが一気に面白くなった。
シリーズチャンピオン争いは、Rd.2までのポイント獲得状況をみると2位に14pt差をつけている#01 EVANGELON e-RACING with 広島マツダが圧倒的に有利な状況だ。
しかも、Rd.1、Rd.2といずれも予選でポールポジションを獲得していることを考えると、#01 EVANGELON e-RACING with 広島マツダが上位を確保する公算が大きく、他チームがポイント差を縮めるのは難しいと思われた。
しかし、5番手スタートとなると、これまでのように前がクリーンな状態でスタートできない。
前走車や後続車両との関係で、大きくポジションを落とす可能性すらある。
さらに、ドライバー交代のあるオフラインレースということで不確定要素も大きい。
ポイント争い2番手につける#55 ARTAと3番手#777 D’station Racingに大きなチャンスが生まれたことはもちろん、ポールポジションを獲得した#888 Sengoku Gamingも20pt差ながらシリーズチャンピオンの可能性も見えてきた。
JEGT2022年シリーズを締めくくるRd.3は、1月14日(土)9:30から、東京オートサロン2023の公式プログラムとして幕張メッセイベントホールで開催される。
白熱したレース展開必至のあらゆる可能性が考えられる最終戦を、会場やYouTubeでぜひ楽しんでほしい。
Text: 渡邉 篤
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