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ニュース波乱含みの予選スーパーラップを制しポールポジションは#105 TC CORSE SPK e-SPORT Racing
増田 真吾
開催の迫るJEGT2021団体戦シリーズグランドファイナル開催に先駆けて、決勝のグリッド順を決める予選スーパーラップが2022年1月8日にスパ・フランコルシャンでおこなわれた。
グランドファイナルに出場するのは団体戦シリーズのポイントランキング上位10チーム。安定した結果を残してきたチームばかりとあって、トップと最下位の差はわずか1.6秒。大混戦の予選スーパーラップとなった。
予選スーパーラップでの下剋上はあるか
JEGT団体戦グランドファイナルの決勝グリッドは、シーズン中のポイントランキングに関わらず予選スーパーラップの1発勝負で決まる。
注目はポイントランキング1位でグランドファイナル出場を決めた#280 ニワカレーシング。また、惜しくもポイントランキング2位となった昨年王者#54 TC CORSE Esports MAZDAの巻き返しにも期待したい。
使用コース紹介
団体戦グランドファイナル予選スーパーラップの舞台は、名サーキットの1つスパ・フランコルシャンだ。全長は7.004kmと長く、さらに全開率は75~80%にもなる超高速コースで、高い集中力が要求される。
F1も開催されるこのコース最大の特徴はオー・ルージュ。(正確には上り坂ラディオンまで)オー・ルージュまで一気に下ったあと、左、右、左と小刻みな複合高速コーナーをクリアしながら最大傾斜度18度のストレート「ラディオン」をアクセル全開で登る。
一方、ラ・ソース、レ・コーム、バスストップシケインといったテクニカルな低速コーナーも全体に配置されているのも特徴。いかに低速コーナーをスムーズにクリアして鋭く立ち上がり、トップスピードを伸ばすかが攻略の鍵となる。
レギュレーション
・各チームの代表選手が1人ずつコースを周回
・タイム計測は2周目のみ
・ペナルティが発生した場合はノータイム扱い
・タイヤ:レーシングハード
・タイヤ/燃料消費:なし
波乱の展開となった予選スーパーラップ
世界屈指のハイパワーコースだけに、戦前はGT-R有利かと思われたがRX-VISION勢がフロントローを独占。さらにNSXが続くという意外な結果となった。また、ポイントランキングトップの#280 ニワカレーシングがまさかの最下位。波乱含みの展開となった予選スーパーラップを振り返る。
最初にアタックしたのは、GRスープラ レーシングコンセプト ’18を駆る長選手(#11 KOSHIDO Jr.RACING)。2’17”189とまずまずのタイムを記録した。続く辻村選手(#777 D’station Racing)はやや遅れて2’17”639。2分17秒台が1つの基準になる。
5番手にアタックした杉守選手(#55 ARTA)がNSX Gr.3で2’17”090を記録。どのチームが2分17秒台を切ってくるかに注目が集まった。そして、ついに7番手アタックの鍋谷選手(#54 TC CORSE SPK e-SPORT Racing)が均衡を打ち破る。ラ・ソースを2速のままクリアするなど攻めの走りを見せ、2’16”970という好タイムを記録した。
ポールポジションは、唯一の2分16秒台をRX-VISION GT3 CONCEPTで記録した鍋谷選手(#105 TC CORSE SPK e-SPORT Racing)。2番手には同じくRX-VISION GT3 CONCEPTの宮園選手(#01 EVANGELION e-RACING with 広島マツダ)が続いた。3番手は杉守選手(#55 ARTA)。
そして、ポイントランキングトップの井芹選手(#280 ニワカレーシング)は、コース幅をいっぱいまで使って攻め続けたが、トラックリミット違反によりノータイムとなってしまった。逆にポイントランキングでは10位の長選手(#11 KOSHIDO Jr.RACING)はスープラ勢トップとなる2’17”189を記録し5番手と健闘した。
チーム間の実力差は紙一重
どのチームもほとんど大きなミスはなく、ほんのわずかな差が結果を分けた。各チームの実力は紙一重で、それぞれの課題をグランドファイナル決勝までにどう修正してくるのかに注目したい。
ここで、各チームの予選スーパーラップのタイム及び使用車両を紹介しておこう。
1位 #105 TC CORSE SPK e-SPORT Racing(鍋谷選手)
タイム:2’16”970
使用車両:マツダ RX-VISION GT3 CONCEPT
2位 #01 EVANGELION e-RACING with 広島マツダ(宮園選手)
タイム:2’17”035
使用車両:マツダ RX-VISION GT3 CONCEPT
3位 #55 ARTA (杉守選手)
タイム:2’17”090
使用車両:ホンダ NSX Gr.3
4位 #888 Sengoku Gaming (川上選手)
タイム:2’17”187
使用車両:日産 GT-R ニスモ GT3 N24 Schulze Motorsport ’13
5位 #11 KOSHIDO Jr.RACING(長選手)
タイム:2’17”189
使用車両:トヨタ GRスープラ レーシングコンセプト ’18
6位 #54 TC CORSE Esports MAZDA(佐々木選手)
タイム:2’17”235
使用車両:マツダ RX-VISION GT3 CONCEPT
7位 #301 LAKE GAMING(山本選手)
タイム:2’17”342
使用車両:トヨタ GRスープラ レーシングコンセプト ’18
8位 #12 KOSHIDO RACING(岩田選手)
タイム:2’17”345
使用車両:トヨタ GRスープラ レーシングコンセプト ’18
9位 #777 D’station Racing(辻村選手)
タイム:2’17”639
使用車両:マツダ RX-VISION GT3 CONCEPT
10位 #280 ニワカレーシング(井芹選手)
タイム:2’18”605(※トラックリミット違反によりNO TIME扱い)
使用車両:トヨタ GRスープラ レーシングコンセプト ’18
グランドファイナルの結果は全く予測できない
ポイントランキングトップを獲得した#280 ニワカレーシングが最後尾に甘んじるなど、予選スーパーラップはポイントランキングの順位を大きく入れ替える結果となった。
しかし、予選スーパーラップはあくまで1発勝負。チーム間の実力差はタイム差よりもはるかに小さい。
上位グリッドを獲得したチームが有利であることは確かだが、スパ・フランコルシャンはスタート直後の1コーナーで混乱が起きやすいサーキットだ。オー・ルージュに向かう頃には全く違う順位になっている可能性もある。さらに決勝レースはピット戦略も大きな不確定要素となるため、目が離せない。
混戦が予想される注目のJEGT2021団体戦シリーズグランドファイナルは、いよいよ2022年1月15日(土)に日本最大級の自動車イベント「東京オートサロン2022」で行われる。