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2021年度のJEGTシリーズも、個人戦、団体とも残すところグランドファイナルを残すのみとなった。
今回は、個人戦ポイントランキング1位を獲得した宮園選手にロングインタビューを敢行。eモータースポーツをはじめたきっかけから、具体的戦略まで率直に語ってくれた。
また、宮園選手は団体戦でもポイントランキング3位(#01 EVANGELION e-RACING with 広島マツダ所属)と、グランドファイナル出場を決めている。いつもは冷静な宮園選手から、団体戦にかける熱い思いも聞けた。
■仲間と積み上げた経験と冷静な作戦でグランドファイナル出場を決定
団体戦 Rd.3 決勝レース スーパーラップ
2020年個人戦シリーズチャンピオンに続き、今季も盤石の走りでポイントランキング1位を獲得。見事グランドファイナルへの出場を決めた宮園選手。その速さの秘密と、マシン選びのポイントに迫った。
――Q.グランドファイナル出場を決めるなど、宮園選手の強さの秘訣は?
宮園選手:要因を一言で言うのはなかなか難しいですね。
安定して結果を残せているのは、今までの経験の積み重ねです。
長年グランツーリスモをプレイする中で、今JEGTで一緒に走っている人をはじめ、多くの仲間と出会いました。ライバルでもありますが、仲間との練習走行や、やり取りをする中で、走りの弱点やレースの駆け引きを学び、車やコースの情報交換をしてきた経験が活きています。
そういう意味では、今の結果が残せているのは、これまで出会った仲間のおかげという部分が大きいのかもしれませんね。
――Q.個人戦セミファイナルで、なぜ扱いづらいといわれるランボルギーニ ウラカンを選んだのですか?
宮園選手:実は今回、車両の選定には練習走行以上に時間を掛けました。
レギュレーションと決勝レースの天候から、さらに予選を重視しつつ絞り込んでいった結果です。
ウラカンが扱いづらいのは知っていましたが、自分の腕ならなんとかなるんじゃないかなと。(笑)
――Q.可能な範囲で具体的な選定プロセスを教えてください。
宮園選手:今回、予選レースがGr.4、決勝レースはGr.3の車両を選ぶことになっていたのですが、さらに、予選、決勝ともに同じメーカーの車両を使わなければならないというレギュレーションでした。
そのうえで、まず考えたのが、決勝レースの雨というコンディションです。雨の場合は、トラクションがリアにかかりやすい車両のほうが有利なので、決勝レースはMRの車両から選ぶことにしました。
自分なりに優劣をつける中で、決勝レースだけを考えるとアウディが一番良かったです。ただ、アウディにすると、予選レースに使用するGr.4の駆動方式が、スタンディングスタートに不利なFF(フロントエンジンフロントドライブ)の車両になってしまうためアウディはやめました。
検討した結果、残ったのがホンダかランボルギーニです。最後の決め手は、予選で使用するGr.4車両でした。決勝よりも予選を重視していたので、Gr.4車両で比べたときに、ホンダより速かったランボルギーニを選択しました。
■グランツーリスモ歴は17年以上!4歳からステアリングを握っている
2021Seriesティザームービー内の宮園選手
宮園選手がeモータースポーツをはじめたのはなんと4歳。
はじめたきっかけや、好きなマシンなど、宮園選手とe-モータースポーツの関わりについて聞いてみた。
――Q.eモータースポーツを始めたきっかけは?
宮園選手:父親が車好きで家にミニカーなんかもあって、そういったものに触れているうちに、車に興味を持つようになりました。
ちょうど4歳のころ、グランツーリスモ4を発売日に父親が発売日に買ってきて、一緒に遊んだのが、eモータースポーツに始めたきっかけかもしれません。発売日に買ってきた記憶は今でも強く残っています。
6歳を超える頃には、父親より速くなっていて、その頃から父親とは一緒に遊ばなくなり(笑)一人でやるようになりましたね。
――グランツーリスモSportの中で個人的に好きなマシンを教えてください。
宮園選手:2020年度の個人戦最終戦で使用した、レッドブルX2019 Competitionが気に入っています。気に入っているポイントは、ダウンフォースが効いていて、コーナリング速度も速い点です。リアが流れやすいというオーバーステア気味なところも、自分のドライビングスタイルにマッチしていますね。グランツーリスモSportをやり始めた頃から乗り続けてきたので、思い入れも強いです。
ただ、本当に扱いが難しいので、これからグランツーリスモをはじめる方にはおすすめしません(笑)
これから練習する方は、Gr.4カテゴリーの車両がおすすめです。ある程度の速さがありながら、扱いやすいので、まずはGr.4を基点にして練習して、徐々にGr.3などに幅を広げていくといいと思います。
■日本のeモータースポーツトップカテゴリで挑戦をし続ける
団体戦最後の予選、Rd.3での実況席の様子(左から、谷口 信輝・鈴木 学・松本 優一郎)
いよいよ、グランドファイナルを迎えるJEGT2021シリーズ。
改めて、JEGTの魅力と、グランドファイナルに向けての意気込みについて話してもらった。
絶対勝つという強い意志を持ちつつ、決して慢心しない。宮園選手の強さの片鱗を垣間みることができた。
--宮園選手が考えるJEGTの見どころはどこにあるでしょうか?
宮園選手:個人戦に関しては、国内のグランツーリスモを使ったさまざまなイベントの中でも、レースのレベルは突き抜けて高いので、たくさん見どころがあると思います。
あとは、車種が選べるのも魅力的なところですね。ワンメイクのレースではないので、車種それぞれの特性による差が出て、レース中のバトルなどアクションが起きやすいので、その点にも注目してもらいたいです。
個人的には、チーム戦をぜひ見て欲しいなと思っています。チーム戦略やチーム間の駆け引きなど、実車のレースにも引けを取らないところにも注目です。
ゲーミングチームだけではなく、実車のレースをおこなうレーシングチームも参戦しているところもほかにはない魅力だと思います。
――いよいよグランドファイナルが迫ってきましたが、ぜひ意気込みを聞かせてください。
宮園選手:まずはチーム戦に全力投球したいです。
所属しているEVANGELION e-RACING with 広島マツダは、JEGTの中でも一番強いチームであり、優勝に近いチームだと思っています。個人的には、まだあまりチームに貢献できていないと思っていて、迷惑もかけてしまっているので、グランドファイナルでなんとか挽回したいですね。Rd.3で優勝を決めたので、このままの勢いで、グランドファイナルも勝つつもりでいます。
個人戦については、ポイントランキングトップですが、グランドファイナルでは、今まで獲得したポイントは関係なくなってしまうので、また1から頑張るしかないですね。
まだ時間があるので、しっかりと準備をして、昨年度と同じようにぶっちぎりで勝ちます。
結果として、チーム戦、個人戦の2冠が取れればいいですね。
ただ、新しい選手も出てきていて、速さで敵わない場面もあるので余裕はないです。常に挑戦者という立場だと思って、慢心をしないように心がけています。
■eモータースポーツの発展を願うトップドライバーとしての責任感
個人戦 Rd.2 優勝の瞬間
最後に、まだeモータースポーツに触れていない方へのメッセージと、今頑張っている方へのアドバイスをもらった。トップドライバーであるからこそ、eモータースポーツの発展を強く願っている。そんな責任感を感じるメッセージだった。
--Q.これからeモータースポーツ始めようとしている方、興味がある方にメッセージと今頑張っている方にアドバイスをお願いします。
宮園選手:車が好きだけど、eモータースポーツとまだ接点がないという場合、一度レースを見てもらえれば、魅力が伝わると思います。スープラ、GT-Rなど、さまざまな車が出ているので、eモータースポーツに興味を持つきっかけにはなると思います。
そして、グランツーリスモは安くなっているので、ぜひ一度自分で遊んでもらいたいですね。また、そういった機会を作れればいいなとも思っています。
今、上位カテゴリーを目指して頑張っている人は、一人で練習するのには限界があるので、ほかの人に見てもらうことを意識して欲しいですね。
自分のダメな部分、どう直せばいいのかというのは、ほかの選手から客観的な目線があってこそわかる部分なので、コミュニティを見つけて、客観的にアドバイスをもらうようにすることが大事になってくるんじゃないでしょうか。
ちなみに、僕はツイッターのDM大歓迎なので、気兼ねなく聞いてもらえれば、なんでも答えますよ(笑)
■仲間を大切にする宮園選手はこれからもトップレーサーとして走り続ける
団体戦 Rd.1 優勝チームインタビュー(左から、山中選手・龍選手・宮園選手)
終始淡々とした語り口の宮園選手だが、レースに対する熱い思い、トップレーサーとしてJEGTを背負っているという責任感を随所に感じるインタビューになった。
印象的だったのは、「仲間」という言葉が数多く出てきたこと。グランドファイナルに対しての意気込みを聞いた際も、真っ先にチーム戦のことを話し始めた点からも、宮園選手がいかに仲間を大切にしているかが伝わってくる。eモータースポーツ、ゲームというと、とかく個人というイメージが強かっただけに意外だった。
多くの仲間と切磋琢磨し、技術を向上していくという点では、ほかのスポーツとなんら変わりはないということだろう。
注目のグランドファイナルは、2022年1月15日(土)に、日本最大級の自動車イベント「東京オートサロン2022」の公式イベントとして開催を予定。国内最高峰レベルの熱い戦いに、ぜひ期待してほしい。