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ニュースグランツーリスモワールドシリーズ(以下「GTWS」)の最終戦「ワールドファイナル」が、2024年12月7日~8日かけてオランダのアムステルダムで開催された。
グランツーリスモの公式大会として、世界各国のオンライン予選を勝ち抜いた選手だけが出場する本大会。
各地を転戦するシリーズ戦形式で行われた2024年シリーズは、東京でも開催されて大いに盛り上がった。
シリーズチャンピオンが決定する、ワールドファイナルの模様を日本人選手の活躍を中心にお届けしよう。
グランツーリスモシリーズは単なる家庭用のゲームではなく、早い段階から「スポーツ」としての活動をおこなってきた。
昨年映画化されて話題になった、リアルドライバーを養成する「グランツーリスモアカデミー」の存在は知る人も多いだろう。
そして、eモータースポーツという側面でプレイヤーにスポットライトを当てる取り組みが、全世界規模で開催されるGTWSだ。
まずは、大会の概要と日本人選手の活躍を振り返ってみよう。
>>グランツーリスモアカデミーを描いた映画について詳しくはコチラ
テスト開催も含めると、今年でちょうど10年目を迎えるGTWS。
世界各国のプレイヤーがオンライン予選に参加し、エリアごとにワールドシリーズへの出場者を決定する。
文字通り世界規模で行われる、グランツーリスモ最大の大会だ。
開催されるのは、国を代表して個人が頂点を目指す「ネイションズカップ」(2023年のみ国別チーム戦)と、自動車メーカーごとに分かれてチーム戦で争う「マニュファクチャラーズカップ」の2つのカテゴリー。
開催年によってフォーマットは異なるが、年間を通じて重ねたポイントで最終的にチャンピオンを決定する。
GTWSでは、初年度から多くの日本人選手が活躍してきた。
初開催の2018年には川上 奏選手(#1 Sengoku Gaming)、翌年には山中 智瑛選手(#02 EVANGELION e-RACING×ウエインズトヨタ神奈川)がそれぞれマニュファクチャラーズカップでタイトルを獲得している。
そして圧巻だったのが、2020年シリーズだ。
宮園 拓真選手(#52 KANTOモータースクール SCARZ)が、ネイションズカップとマニュファクチャラーズカップ、さらには同時開催のTOYOTA GAZOO Racing GT Cupの3冠を獲得。
3冠を獲得した選手は、2024年現在まで宮園選手ただ1人だ。
グランツーリスモワールドシリーズ2024にも、多くの日本人選手が参加している。
ネイションズカップこそ出場枠の関係で2名のみのエントリーだが、マニュファクチャラーズカップでは12チーム中11チームに日本人選手が所属。
日本人選手が、グランツーリスモ公式大会の中心にいることは間違いない。
GTWS2024は、川上選手の所属するレクサスがマニュファクチャラーズカップ、宮園選手がネイションズカップをそれぞれ獲得した。
JEGT所属選手の活躍が目立った両レースの模様を振り返ってみよう。
マニュファクチャラーズカップに出場する日本人選手11名のうち、実に10名がJEGT認定ドライバーだ。
10月に開催された東京ラウンドで、レクサスの川上 奏選手が優勝したのは記憶に新しい。
ワールドファイナルでも、随所に日本人選手、特にJEGT認定ドライバーの活躍がみられた。
ワールドファイナルの舞台は、スパ・フランコルシャン。
決勝レース(グランドファイナル)には1チーム3名が参加し、JEGTと同様にピットでのドライバー交代を伴う。
まず最初に存在感を示したのは、4番グリッドからスタートした川上選手だった。
オープニングラップのケメルストレートエンドで起きた混乱に乗じて、一気に2️番手へのポジションアップを果たす。
最終的に2位フィニッシュしたことでレクサスはシリーズチャンピオンを獲得したことを考えると、川上選手の冷静なドライビングが勝利のカギになったといえるだろう。
一方で、雨が落ちてきた中盤に存在感を見せたのは、ジェネシスの佐々木 唯人選手(#54 MAZDA SPIRIT RACING with TC CORSE)だ。
ドライバー交代をした時点では4番手と2秒近く離れた5番手を走行していたが、雨の中で一気に差を詰めて3番手まで浮上した。
後方では、スバルの宮園選手とポルシェの佐々木 拓眞選手(#52 KANTOモータースクール SCARZ)が実力をいかんなく発揮。
一時は最下位を走行していたチームの最終順位を、スバル4位、ポルシェ5位にまで引き上げた。
ネイションズカップには、宮園選手、佐々木 拓眞選手が出場。
JEGT2024シリーズトップリーグで、#52 KANTOモータースクール SCARZのチームメイトだ。
注目は、ポイントランキング2位で最終戦を迎えた宮園選手。
ニュルブルクリンク24時間コースを舞台に戦われたレースは、宮園選手の戦略とドライビングテクニックが際立つ展開となった。
予選ヒート1と2ともに3番手で終え、3番グリッドから決勝レースに臨んだ宮園選手は、オープニングラップからクレバーな走りをみせる。
燃料消費率と給油スピードに注目したレース全体の戦略を組み立て、他選手よりも燃料消費を抑えてチャンスをうかがう展開。
最終スティントでソフトタイヤに交換すると、驚異的なペースで猛プッシュ。
最大で10秒以上にまで開いたトップに、最後のストレートで追いついて見事なオーバーテイクを決めた。
勝負の分かれ目は、3ラップ目に迎えた最初のピットストップだった。
ソフトタイヤを選択するライバルに対してハードタイヤを選択した宮園選手は、給油量を抑えたことでピットアウト時に一時トップに立つ。
ソフトタイヤでプッシュしたいデブラン選手とドルーモン選手を一定区間抑えたことが、僅差の勝利に結びついた。
グランツーリスモワールドシリーズは、オンライン予選には世界中のプレイヤーが参加、本戦は世界各国を巡るオフライン開催と、さすがの規模を誇る。
しかし、出場選手の顔ぶれをみると、JEGTでおなじみの選手ばかりだ。
JEGT2024シリーズチャンピオンの行方は、Rd.2の結果によって混迷を極めている。
ワールドシリーズで戦った選手たちが、今度はJEGT2024シリーズ Rd.3に舞台を変えて熱い戦いを繰り広げてくれるはずだ。
ワールドシリーズに勝るとも劣らない、見ごたえのあるレースに期待したい。
JEGT2024シリーズ トップリーグの最終戦は、2025年1月12日(日)に東京オートサロン2024会場内でおこなわれる。
公式YouTubeチャンネルでも生中継されるが、ワールドシリーズと同様の興奮をぜひ会場で体験していただきたい。
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