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ニュース激しいタイヤスモークを上げながら、クルマを横に向けてコーナーを豪快に駆け抜けるドリフト。漫画や映画でも題材としてしばしば取り上げられるのは、他のモータースポーツと違って単なるスピード競技ではない面白さがあるからだろう。
実は、グランツーリスモ7でも、ドリフトを楽しめるのをご存じだろうか?
今回の記事では、初心者の方に向けてドリフトの基本について詳しく紹介しよう。
ドリフトには繊細な操作技術が要求されるが、初心者の方でもじっくりと取り組めばマスターできるはずだ。
さまざまなモータースポーツは、古くから自動車文化の根付いている欧州や北米が発祥という競技が多い。
しかし、ドリフト競技は日本から世界に広がった唯一といえるモータースポーツカテゴリーだ。
まずは、ドリフトの基本的な部分を詳しくご紹介しよう。
ドリフトという運転技術自体は、ラリーやジムカーナといった競技を中心に昔からあった。
後輪を意図的に横滑りさせることで、コーナリング時にクルマの向きを素早く変えつつ、旋回半径を小さくする。
本来はタイムを縮めるための技術だったが、ドリフト部分のみを楽しむようになっていったのが競技カテゴリーとしてのドリフトだ。
クルマが横滑りするという不安定な状況のなか、アクセルワークやステアリング操作でクルマの姿勢をコントロールするところに面白さがある。
ドリフトアングル(角度)を維持したまま流れるようにコーナーを抜ける姿には、迫力と美しさを感じるはずだ。
ドリフトは日本のスポーツ走行好きの間で広まり、やがてプロを擁する競技団体も出現。
現在では、アメリカやヨーロッパ、東南アジア諸国など全世界に広がりをみせている。
また、プロによる高い技術を見て楽しむファンもいる一方で、実際に自分でドリフトをするアマチュアドライバーも少なくない。
非力でスピードの出ないクルマでも楽しめるため、幅広いドライバーがそれぞれのスタンスで楽しんでいる。
プロによるドリフト競技がYouTubeで中継されていることもあるため、興味のある方はぜひ検索してみていただきたい。
競技では、ドリフトアングルやスピード、ライン取りなどに得点をつけて優劣を競う。
F1やスーパーGTをスピードスケートとするなら、ドリフトはフィギュアスケートといった位置づけだろうか。
さらに、「追走」という対決要素も盛り込まれるため、手に汗握る戦いを楽しめるはずだ。
実車でドリフト走行を楽しむにはそれなりにクルマを作り込む必要があるため、初心者がいきなり始めるにはハードルが高い。
しかし、グランツーリスモ7であれば必要なパーツの装着や好みのセッティングへの変更が容易なため、すぐにドリフトの練習を始められる。
グランツーリスモ7でドリフトを練習するための、実車をベースにした基本的なセッティングと操作の流れを紹介しよう。
ただし、グランツーリスモでドリフトする際は、実車とは異なるアプローチや操作も多い。
特有の操作をすべて網羅はできていないが、ドリフトをはじめるきっかけとして参考にしてほしい。
初心者がグランツーリスモ7でドリフトをする際には、セッティングに少しコツが必要だ。
もっとも重要なことは、タイヤのグリップを落として滑りやすくすることだ。
実車でドリフト練習をする際も、同じようなセッティングにすることが多い。
グリップの低いタイヤであれば低い速度域でも後輪を滑らせることができるため、ドリフトをコントロールする操作に集中できる。
また、ディファレンシャルギアの動作を制限する、LSDの装着もドリフトには欠かせない。
旋回中に内輪が浮いた状態では、トルク(回転力)その浮いた方のタイヤに逃げてしまう。
しかし、ドリフト状態を維持しコントロールするためには、左右のタイヤにトルクを掛け続ける必要があるためだ。
ドリフト走行の一連の動作は、コーナリング中、もしくは進入前に後輪を滑らせ、角度がついた状態をアクセルで維持するといった流れだ。
基本的には、アクセルを開けるとドリフトを続ける方向、抜くとドリフトが収まる方向にクルマが動く。
ドリフトをするうえで重要になってくるのは、後輪を滑らせるきっかけ作りだろう。
ドリフトのきっかけ作りは、サイドブレーキ、クラッチ蹴り、ステアリング操作によるフェイントと荷重移動、などいくつかのパターンがある。
しかし、初心者の場合は、パワースライドと呼ばれるアクセルオンで滑らせる方法をおすすめしたい。
操作は簡単で、いつもどおりにコーナリングをしながら、クルマが横荷重になったタイミングでアクセルを全開まで踏み込むだけだ。
後輪が滑り出したら、コーナーと逆方向にステアリングを切るカウンターステアを当て、スピンを抑えらればドリフトの入口はクリアしたといえるだろう。
なお、ハンドルコントローラー(ハンコン)であれば、フォースフィードバックによって勝手にハンドルが回るため手を離せばカウンターステアが当たる。
アクセルコントロールは感覚的な部分もあるため文章では伝えにくいが、全開と全閉といった極端な操作でなく、縦と横方向のトラクションのかかりかたを意識しながら丁寧に操作をしよう。
実車でのドリフトなら、後輪駆動のFR車両がもっとも適している。
しかし、グランツーリスモ7でドリフトに挑戦するのであれば、4WDも試してみてほしい。
アクセルオンでフロントが車体を引っ張ってくれるため、比較的安定しやすいはずだ。
FRだとスピンしてしまってドリフトにならない場合は、4WDでコーナーを抜ける感覚を身につけよう。
一方で、FRのほうがリアタイヤを滑らせやすいため、リアタイヤを滑らせる感覚をFRで掴んだうえで4WDでコントロールの練習をすれば効果的な練習が積めるはずだ。
4WDでドリフトをする際も、セッティングや操作は基本的にFRと変わらない。
グランツーリスモ7は単なるゲームではなく、クルマの挙動を正確に再現したシミュレーターだ。
つまり、コースを速く走らせるだけでなく、リアルなドリフト走行も楽しめる。
「ワールドサーキット」内の各サーキットには「ドリフトチャレンジ」というメニューも用意してあるため、積極的にドリフトにも挑戦したいところだ。
また、グランツーリスモ7をはじめとする、eモータースポーツでドリフトを楽しむユーザーも増えつつある。
実車同様のルールで開かれる大会が開催されるなど、今後の盛り上がりが予想される。
はじめはコツを掴みにくいドリフト走行だが、グランツーリスモ7なら車を壊すことなく思う存分練習できる。
セッティングや操作方法を試行錯誤しながら、ぜひドリフトの気持ちよさを味わってみてほしい。
Text: 渡邉 篤
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