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ニュース日本国内やヨーロッパ、アメリカなどでの世界的なeモータースポーツの盛り上がりは、多くの人も知るところだ。
東南アジア圏でも、近年注目を集めつつあることをご存じだろうか。
東京オートサロン2024では、eスポーツエクスペリエンスというeスポーツに特化したイベントが開催されたが、奇しくも同じ名前を冠するバンコクオートサロン2024でもeモータースポーツのブースが多くのファンを集めていた。
バンコクオートサロンでのeモータースポーツの盛り上がりを、現地で撮影した写真とともにご紹介しよう。
2024年6月26日〜30日の5日間にわたって開催されたバンコクオートサロン2024。
個性あふれるカスタムカーが展示されるなか、ハンコン(ハンドルコントローラー)とモニターを備えたコックピットが並べられたブースがあった。
まずは、バンコクオートサロン2024の概要とeモータースポーツブースの様子をお伝えしよう。
JEGTのオフライン大会も毎年開催されている、世界最大規模のカスタムカーイベント「東京オートサロン」。
タイの首都バンコクでも、「バンコクオートサロン」という名称で2012年から毎年(コロナ禍を除く)開催されている。
自動車メーカーやチューニングショップ、アフターパーツメーカーの展示車両が所狭しと並べられている様子は東京オートサロンと同様だ。
また、タイでは日本の自動車メーカーの人気が高く、新車が圧倒的なシェアを占めているほか、中古車も多く流通している。
1990年代から2000年代初頭にかけてのいわゆるJDM、シビックやスープラ、RX-7といった日本国内でも人気のスポーツカーが展示車両の中心だ。
東京オートサロンで話題となったカスタムカーも、遠く海を超えて展示されている。
一方で、バンコクオートサロンでは、私的なカークラブによるユーザー展示が公式に行なわれている点が東京と大きく異なる点だ。
メーカー側だけでなく、ユーザーも一緒になってカスタムカーを楽しむお祭りのような雰囲気が伝わってくる。
eモータースポーツの出展ブースは、合計8台のコックピットが整然と並べられ、前方には大型スクリーンを備えたステージが設けられた本格的な会場。
また、会場の左右には観客席まで用意され、ゆっくりと観戦できるようになっていた。
ブースの主催は、タイのeスポーツを管轄するTESF(Thailand ESports Federation)。
TESFはスポーツ庁の認可を受けた政府公認の協会で、タイ国内でのeスポーツ大会の主催や選手の取りまとめ、普及に務めている。
会場に用意されていたのは、PC版のアセットコルサ コンペティツィオーネ。
TESFの副代表を務めるKitiwhuth Phimphahu氏(以下、通称のアム氏と表記)によると、タイで本格的にeモータースポーツを楽しむ人の80%ほどがアセットコルサを使用しているとのこと。
一方で、Playstation®5の普及とともに、グランツーリスモを楽しむカジュアル層も増加しつつあるそうだ。
昨年のバンコクオートサロンでもeモータースポーツのブースは出展されていた。
一定の盛り上がりは見せていたものの、ついでに見学といった様子で遠巻きに見ていた来場者が多かった印象だ。
しかし、今年の来場者は、体験走行への参加やブース内で係の人の話を聞くなど熱量がまったく違う。
わすが1年しか経っていないが、eモータースポーツの注目度が急激に上がっていることを実感した。
本格的な大会も開催された、特設ブースの様子を詳しくレポートしよう。
>>東京オートサロン2024のグランツーリスモ体験コーナーついてはコチラ
TESFのブースにずっと張り付いていたわけではないが、いつ見ても立ち見の人がいるほどの盛況ぶり。
バンコクオートサロンでこれだけ集客しているのは、正直驚異的なことと言っていいだろう。
バンコクオートサロンの会場内は、東京オートサロンのように人がごった返すような混み具合ではない。
会期が5日間にも及ぶうえ、夜9時まで開催していることも影響しているのだろう。
各社の展示車両を見る人も多くて数名程度、メインステージでのイベントも時間帯によっては人はまばらだ。
TESFブースへの人の集まり方から、eモータースポーツがタイ国内でいかに注目を集めているのかがわかる。
また、集まっているのは若者だけでなく、子どもからご年配の方まで実に幅広い年齢層だったのも印象深い。
体験走行への参加を待つ人、大スクリーンに映し出される走行映像に注目する人、係の人に詳しい話を聞く人と熱心なファンも少なくない様子だった。
「タイ国内のeスポーツ人口は年々増加している」とアム氏は話す。
都市部を中心に所得格差が埋まりつつある経済状況も背景に、今後の盛り上がりに期待したい。
オートサロン最終日には、ナショナルチームを迎えて本格的な大会も開催。
自動車メーカー各社の名前の入った、アクリル製の立派なトロフィーも準備されていた。
タイはeスポーツに力を入れていて、ほかのスポーツと同様にナショナルチームが存在する。
中国やマレーシアなどで行われる、国際大会に派遣されるとのことだ。
時間の都合上、決勝レースを見届けることはできなかったが、終日かけて行われた予選は常に盛り上がりを見せていた。
タイの人々のクルマに対する熱量は高く、自動車文化が生活に根付いている。
ホイールやマフラーといったカスタマイズはもちろん、レースやドリフト競技といったモータースポーツの人気も高い。
eモータースポーツは、そんなクルマファン、ゲームファン両方から注目を集めているようだ。
アム氏によると、「eモータースポーツならクルマを壊さないため、誰でも安心して楽しめる。一方で、eモータースポーツをきっかけにリアルドライバーへの道を目指す若者もいる」とのこと。
eモータースポーツが、タイや東南アジア諸国でさらに広がっていくことは間違いなさそうだ。
「日本のeモータースポーツ選手との対戦や、お互いに協力できる機会がいつか実現すればと思っています。」と、アム氏は日本のeモータースポーツ界に向けてメッセージを寄せてくれた。
距離的にも近い東南アジア圏で、今後オフライン交流戦などが開催されることに期待したい。
TEXT: 渡邉 篤
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