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ニュースグランツーリスモの大会として日本最高峰を誇るJEGT2023シリーズは、#1 Sengoku Gamingが見事に二連覇を果たした。
東京オートサロン2024で行われた最終戦終了時点では、審議が残っており暫定という結果。
改めて優勝が確定した今の気持ちを、アンケート形式で聞いてみたのでご紹介したい。
回答内容からは、一丸となって2連覇を目指していたチームワークの良さが浮かび上がってきた。
また、トップリーグに参加するチームは、事情や形はそれぞれ異なっていても#1 Sengoku Gamingのように熱い想いでシリーズに臨んでいる。
JEGTに参加するチームがどのような想いで戦っているのかも、今回のアンケートから感じていただきたい。
なんと今回は、チームメンバー全員から回答が寄せられた。
川上 奏選手、奥本 博志選手、井芹 颯真選手、今村 駿佑選手、小林 利徠斗選手それぞれの想いをたっぷりとご紹介しよう。
なお、スペースの都合上、回答選手の敬称は省略させていただいている点にご了承いただきたい。
ファイナルラウンド前のポイントランキングは2位。
昨年同様に決して有利ではない状況で迎えたラウンドファイナル前に、どの程度自信があったのか聞いてみた。
半々だったという声もありつつ、かなりの自信があったことを感じさせる回答だった理由は、チームとして真剣に取り組んだ裏付けがあったからこそだろう。
練習内容なども含めて、まずはラウンドファイナル前の状況を答えてもらった。
(川上)それなりに自信はありました。オフラインイベントに慣れているメンバーが多く、決勝レースのメンバーは去年と同じだったため、本番でも練習通りの力を発揮できる可能性が高いと感じていたからです。
また、自分たちが選んだ車両はライバルの54号車よりもコースとの相性が良い点もプラス材料でした。
(奥本)順当にいけば勝てると思っていました。実際にモンツァ・サーキットを走行してRX-VISIONとGT-Rのタイヤ消耗をテストしてみたところ、GT-Rの方がソフトタイヤを多く使えることがわかっていたことが大きな理由です。
(井芹)Rd.1、Rd.2はもちろんのこと、最終戦のコースも十分に戦える車種選択をしていたので逆転優勝の確率は高いと思っていました。
(今村)自信は正直少ししかありませんでした。チームの他のドライバーと練習したりし確実に良い状況であったものの、コースレイアウトも含めて難しいレースになると思っていたためです。
(小林)チームメイトが非常に沢山の時間を最終戦の練習へ充てているのを傍で見ていたため、個人的にはとても自信がありました。
(川上)今まで以上に練習量は確保しましたが、ドライバー交代の模擬練習を各自で行ったのは特別な取り組みですかね。ヘッドホンを即座に取る、タイヤ交換のボタンを素早く押すなど、走り以外でタイムを縮められるポイントを意識して練習しました。
(奥本)とにかく誰よりも速くなるためにがむしゃらに練習しました。自分が担当するのは作戦的にロングスティントになることが分かっていたので、大きく結果に響くと考えてチームの誰よりも練習しました。
(今村)いつもと変わらず練習を積み重ねました。
(小林)チームとして非常に沢山の時間を最終戦の練習に充てていました。
ラウンドファイナルでの戦い方について聞いたところ、逆転での連覇を目指してかなり綿密に戦略を練っていたようだ。
また、チーム全体が戦略の意図を理解し、同じ方向を向いて戦っていたことが勝因の1つだったのではないだろうか。
チーム内の機密情報だけにあまり具体的な回答は期待していなかったのだが、意外にも各選手ともに詳しく答えてくれた。
トップチームの戦略を知れる貴重で興味深い内容のため、ぜひじっくりと読んでいただきたい。
(川上)まず、1番タイムが速く、プレッシャーにも強い小林選手に予選スーパーラップを任せました。決勝レースでは、スタート時の混戦を無難にまとめることが得意な私が第1スティント、前走車のいないクリーンな状態でのレースペースに期待して今村選手を第2スティント、1:1のバトルでも勝負強い奥本選手を第3スティントに配置しました。
(奥本)スーパーラップが最重要になると思っていたので、チームで1番速い小林くんに任せることにしました。決勝ではレースに強いという観点で、1番のロングスティントとなる最後に自分を配置しました。
(今村)今回出場登録をしているドライバーは全員同じレベルのドライバーだったので、個々の特徴に合わせることを重視して担当を決めました。
(小林)個々の強みを活かし、確実に勝利へ近づけることを考えた出走順にしました。
(川上)燃料が軽くなった最後にソフトタイヤを履くことは、以前から決めていました。特にGT-Rは他車種よりもタイヤの持ちが良かったため、ソフトタイヤを長めに履く決断をしたことも重要な戦略上のポイントです。スタート時のタイヤについては、予選の順位が前のほうならミディアム、後ろならハードと決めていました。今回は前者だったので、結果的にミディアム→ハード→ソフトという順になりました。
(奥本)ソフトタイヤでより多くの周回数を走るために、最後にソフトタイヤということを軸に戦略を考えました。
(今村)ソフトコンパウンドを最大限に活かせるように、全体の戦略を組み立てました。
ラウンドファイナルはレース終了後に審議となり、当日の会場では最終的な順位は確定しなかった。
ディフェンディングチャンピオンの#1 Sengoku Gamingでも、やはり暫定という結果には不安があったようだ。
また、正式結果を聞いた際にホッとしたという感想からは、普段厳しい戦いをしている選手たちの若者らしい素顔が垣間見えた。
(川上)少し複雑な気持ちで、素直に喜べなかったのが正直なところです。「何事もなくこのまま順位が決まってくれ」と祈るばかりでした。
(奥本)正直「うーん」って感じていました(笑)レースを2位という形でフィニッシュでき、自分の仕事自体はやりきった感がありました。ただ、ペナルティ等によって結果が見えなかったので、なんとも言えない気持ちでした。
(井芹)過去のシリーズ戦でも同様ですが、「暫定」という結果はとても心臓に悪いです(笑)どちらに転ぶかわからないため、素直に喜べない部分もあります。
(今村)公式結果が出るまでは、少し不安もありました。
(小林)チームとして素晴らしい完成度だったので、暫定であれ嬉しかったです。
(川上)連絡用のdiscord(チャットサービス)に正式結果が通達されていたのを確認しました。審議内容は自分が該当者だったので、優勝が確定したことにとにかくホッとしました。
(奥本)朝起きて携帯をみたら、結果の通知が来ていて知りました。最高の目覚めでした。
(井芹)事情があって現地には行けなかったのですが、現場の状況やレースの内容から2連覇は確信していました。ただ、意外とチームメンバーはソワソワしていたため、確定結果が出た際は安堵しました。
(今村)チーム内のDMで連絡を受けました。うれしかったです。
(小林)後日発表されたリザルトで、正式にシリーズ優勝を知りました。うれしかったです。
2連覇の達成要因やチーム内でのMVPを聞いたところ、お互いへのリスペクトを感じさせる回答が寄せられた。
チーム戦とはいえ実際にレースをするのは1人ずつなのだが、常にチームメートと一緒に戦っている意識なのだろう。
>>JEGT2022シリーズを制した際のSengoku Gamingのアンケートはこちら
(川上)使用する車種選択を間違えなかったことと、膨大な練習量の2点が大きかったと思います。練習のおかげで本番でも大きなミスをすることなく、全員が自分の仕事をこなせたことが最高の結果につながりました。
(奥本)チーム力だと思います。最強メンバーが揃っていたことに加え全員に協調性があったことが大きかったと思います。
(井芹)強力なチームメンバーと、緻密な情報収集の結果だと思います。
(今村)チームのドライバー全員のレベルが高く、しかも、さらに努力していたからだと思います。
(小林)全員が活躍、協力し走り切ったことと思います。
(川上)みんなが確実に自分の仕事をこなしていたので、1人に絞るのは正直難しいと思っています。ただ、強いて1人を挙げるとするなら、小林選手ですね。最終戦の予選スーパーラップなど緊張感のあるシーンでも、ルーキーながら安定した結果を残してくれたところが大きかったと思います。
(奥本)小林選手ですかね。第2戦のスパは難しいコンディションだったうえ、MR勢のほうが有利だったと思いますがよく2位で帰ってきてくれました。
(井芹)川上選手です。2023シリーズ唯一の勝利となったRd.1の予選でポールポジションを獲得したのは、チームにとって重要なポイントでした。
(今村)小林選出だと思います。彼から色んなことを学びましたし、本当に素晴らしいドライバーです。
(小林)決めきれない程全員が活躍していたと思います。
(川上)たくさんの応援のおかげで、史上初の2連覇を達成することができました。ありがとうございます。ここで終わることなく、来シーズンは3連覇を目指して戦いますので引き続き応援のほどよろしくお願いいたします!
(奥本)#1 Sengoku Gamingを今シーズンもサポートいただいたみなさまに感謝いたします。#1 Sengoku Gamingが強すぎて面白くないと思われるくらい、今後も勝ち続けたいと思いますので来シーズンもよろしくお願いいたします。
(井芹)昨年優勝というプレッシャーもありましたが、2連覇を実現できて満足のいくシーズンでした。来シーズンは3連覇です!
(今村)今シーズンも応援ありがとうございました。また来シーズンも頑張ります!
(小林)みなさまありがとうございました!
終わってみれば#1 Sengoku Gamingが強さを見せつけての2連覇という形になったが、JEGTで連覇を達成するのは簡単なことではない。
実際、今シーズンの#1 Sengoku Gamingの勝利は開幕戦のみのわずか1勝。
Rd.2では#54 TC CORSE Esports MAZDAが勝利し、ポイントランキングではトップに立っていた。
さらに、ラウンドファイナルで勝利を飾ったのは、今シーズン優勝候補の一角に挙げられていた#02 EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川。
薄氷を踏む想いで手繰り寄せたシリーズチャンピオンは、強いチームの結束力があったからこそだろう。
しかし、来シーズンはチームの入れ替えもあり、さらなる厳しい戦いが予想される。
#1 Sengoku Gamingが前人未到の3連覇を成し遂げるのか、ほかのチームによる巻き返しがあるのか、まだシーズン開幕まで時間はあるが興味は尽きない。
Text: 渡邉 篤
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