NEWS
ニュース2023年9月に劇場公開され、グランツーリスモやクルマファンのみならず多くの人から高評価を得た映画「グランツーリスモ」。
ゲームそのものに特段ストーリー性のないグランツーリスモだけに、どう映画化したのか気になるところだ。
正直あまり期待していなかったのだが、「グランツーリスモ」という要素を抜きにしても、十分楽しめる迫力の映像と濃厚なストーリーが詰まった素晴らしい映画だと感じた。
長期休暇中にぜひゆっくりと見てほしい、映画「グランツーリスモ」のレビューをお届けしよう。
なお、ネタバレには十分配慮したつもりだが、万が一読者の楽しみを奪う内容があった場合はご容赦いただきたい。
映画「グランツーリスモ」の評価の高い理由は、ゲームというバーチャル世界をテーマにしつつも、リアルに存在する主人公を題材に作り込んでいるからではないだろうか。
もちろん、ハリウッド映画ならではの、迫力あるレースシーンの映像も見応え十分だ。
映画のストーリーや内容に触れない程度に、その魅力をかいつまんでお伝えしよう。
映画「グランツーリスモ」のモデルは、劇中での役名通り“ヤン・マーデンボロー”という実在の人物。
JEGTとして初めて開催した「ゼロラウンド(2019年)」にも、ゲストとして出場してくれたグランツーリスモプレイヤーだ。
ネタバレにつながるため詳細は伏せるが、時系列は多少改変されているものの実際に近いエピソードも多数盛り込まれている。
また、家族との確執やレースでの心の葛藤など、人間的な部分もストーリー上の見どころの1つ。
シナリオとして脚色されている部分もあるだろうが、単なるレース映画ではない奥深さを感じさせる要素となっている。
また、ヤン・マーデンボローは、映画「グランツーリスモ」内で本人役を演じるアーチー・マデクウィのスタントとして登場しているそうだ。
映画「グランツーリスモ」の最大の見せ場は、実車による迫力のレースシーンだろう。
さすがハリウッド映画といったところで、スピード感やスリルを存分に感じられるはずだ。
また、劇中に何度も登場する、グランツーリスモ7のゲーム画面を実車に重ねるシーンも印象的だった。
クルマの上に表示されるプレイヤー名や速度などの情報、さらにライバルをオーバーテイクする際のラインなど実に上手くゲーム画面が取り入れられている。
実際にはありえない映像ではあるものの興ざめすることはなく、むしろレースシーンに迫力を加える要素の1つだと感じた。
映画「グランツーリスモ」のストーリーは、今や特別なものではなくなりつつある。
映画のように“グランツーリスモ・アカデミー”出身ではないものの、eモータースポーツとリアルレースの二刀流選手の数は増えてきている。
本当にグランツーリスモドライバーはリアルレーサーとして通用するのか、過去の実績も含めて紹介しよう。
グランツーリスモプレイヤーの評価を高めたのは、映画でも登場した“グランツーリスモアカデミー”の存在が大きかった。
プロジェクトは2008年にスタートし、2016年の終了までの8年間で数々のリアルレーサーを輩出。
当初はレース業界から冷ややかな目で見られていたという逸話も残っているようだが、アカデミー生がレースで結果を出し続けたことで「グランツーリスモからリアルレーサー」という道が開けた。
残念ながら現在は終了しているものの、アカデミーがあったおかげで現在のグランツーリスモドライバーに対する高い評価につながっているのは言うまでもない。
JEGT認定ドライバーにも、リアルレーサーを兼ねる選手が複数登録されている。
先日バラエティ番組でも取り上げられた冨林 勇佑監督(#02 EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川)は、JEGTファンのみならず多くの人が知る選手だろう。
また、今季から#1 Sengoku Gamingに加入した小林 利徠斗選手は、グランツーリスモをプレイする傍らカートでも実績を挙げ、昨年度からFIA-F4選手としてレースに参加している。
さらに、山中 智瑛選手(#02 EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川)や宮園 拓真選手(#105 TC CORSE SPK e-SPORT Racing with TOYO TIRES)などもプロレーサーというわけではないものの、実車のレースに積極的に参加している。
ヤン・マーデンボローは、海外のレースだけでなく実は日本のスーパーGTなどでも活躍。
参戦初年度の2016年にはスーパーGTで1勝を挙げ、全日本F3選手権ではシーズン2位を獲得してその実力の高さを証明した。
また、グランツーリスモ関連で最近日本でも活躍したドライバーなら、イゴール・フラガ選手が挙げられるだろう。
イゴール・フラガ選手は元々カートからレースの世界に足を踏み入れたためグランツーリスモ出身の選手というわけではないが、グランツーリスモSPORTで争われた初のワールドシリーズで初代チャンピオンに輝いた実績をもつ。
2023年シーズンは全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に参戦し、シリーズランキングは4位に終わるものの、第6戦では嬉しい初勝利を掴んでいる。
映画「グランツーリスモ」は、単なるゲームやレースをテーマにした映画ではない。
家族との確執や恐怖心との葛藤など、リアルな人間の心情を描いたヒューマンドラマでもある。
劇場での公開は終わってしまったが、レンタルや各種配信サービスでの提供が始まっているのでぜひ年末年始に家族一緒にご覧になってはいかがだろうか。
目標をもつことの大切さや、懸命に取り組むことの意味を考えるきっかけになってくれるはずだ。
なお、JEGT認定ドライバーでもある山中選手が、なんと本映画の日本語吹き替え版で声優デビューを飾っている。
映画は字幕派という方も、山中選手がどの登場人物の吹き替えを担当しているのか、ぜひ確認してみてほしい。
一方、映画と同様かどうかはわからないが、毎戦ドラマチックな展開をみせるJEGT2023シリーズ トップリーグ。
東京オートサロン2024の会場内でオフラインレースとして開催される、ラウンドファイナルがいよいよ2024年1月14日(日)に迫ってきた。
シリーズチャンピオンが決定する大切な一戦でどのようなドラマが巻き起こるのか、ぜひ会場でご覧いただきたい。
また、会場に来られない方も、JEGT公式YouTubeチャンネルの生中継なら現地と変わらない興奮を同時に味えるはずだ。
Text: 渡邉 篤
■東京オートサロン2024で開催!JEGT2023 トップリーグ ラウンドファイナル
■世界屈指のカスタムカーショー「東京オートサロン」クルマ好きじゃなくても楽しめる秘密とは?
■グランツーリスモと実車の二刀流ドライバー冨林氏を監督に起用し王者奪還を目指す名門チーム【EVANGELION e-RACING × ウエインズトヨタ神奈川】