グランツーリスモの大会としてJEGTが最高峰と言われる理由とは？ チーム戦がもたらす新たな魅力

ステアリングを握るのは一人だが背後ではチームの駆け引きが繰り広げられている

4年目のシーズンを迎えたJEGTも、残すところ「東京オートサロン2024」内で開催されるオフラインレース1戦のみとなった。
そこで、ラウンドファイナルを前に、JEGTの採用する「チーム戦」について改めてご紹介したい。

グランツーリスモの大会として国内屈指の規模とレベルを誇るJEGTだが、チーム戦という点も観客を魅了する要素の1つになっている。
JEGTがこだわるチーム戦の魅力を、リーグ運営の難しさも含めて詳しくみていこう。

チーム戦はグランツーリスモの魅力をより高める

グランツーリスモのチーム戦ではメンバー同士のコミュニケーションも重要

グランツーリスモを始めとして、eモータースポーツの魅力はコース上でのバトルだ。
一方で、ピットでの作業ミスやマシントラブルはないため、ただ相手のミスを待つだけの単調なレースになることも多い。

そこで、グランツーリスモでのレースを最大限楽しむため、JEGTが採用しているのがチーム戦というフォーマットだ。
ワールドシリーズでも採用されるチーム戦はなぜ魅力的なのか、その理由をじっくりと探ってみよう。

グランツーリスモ7ワールドシリーズと同様のフォーマット

世界の頂点を決めるグランツーリスモ7の公式世界大会「ワールドファイナル」も、JEGTと同じくチーム戦で争われている。
また、予選や決勝グリッド決定レースは担当が分かれ、決勝レースはドライバー交代を伴うといった点もJEGTと同様だ。

国別対抗戦のネイションズカップは、地域の予選を勝ち抜いたメンバーで構成する国籍ごとに分かれたチーム。
一方、マニュファクチャラーズカップは自動車メーカー対抗戦のため、国籍混合のチームとなっている。

いずれも3人1組で争われるという点も、JEGTのフォーマットと変わらない。

チーム戦で勝つためには戦略も重要

チーム戦の魅力は、選手個人の速さだけでなく戦略の違いも楽しめることだ。
レベルの高いJEGT選手でも、選手個々に特性や得意コースはそれぞれ違う。
予選スーパーラップを優先して逃げ切りを図るのか、決勝レースでの追い上げを狙うのかなどコースや選手の特性に合わせたチーム戦略が求められる。

セッションごとに出場する選手をみて、チームの狙いを考えるとレースの楽しみは倍増するはずだ。

選手の緊張感とドラマチックな展開

個人戦以上の緊張感のなか走る選手と、ドラマチックな展開もチーム戦の魅力だ。
個人戦なら失敗をしても他人に迷惑はかからないが、チーム戦となるとチームに対する責任を背負って走ることになる。
任されたセクションで最高の結果を求められるため、選手にかかるプレッシャーは大きい。

一方で、1人の選手が思うような結果が出なくても、チームメイトのカバーで劇的勝利を手にするケースもある。
ほかのチームスポーツと同様のドラマチックな展開を期待できる点も、JEGTの大きな魅力といえるだろう。

チーム戦の魅力を維持する選手のレベル

JEGTの1レースにはこれだけの選手が参加

参加する選手だけでなく観戦するファンも楽しめるチーム戦だが、国内でシリーズとして開催している大会はほとんどない。
なぜなら、見ている人も楽しめるレベルでチーム戦を開催するには、さまざまなハードルがあるためだ。

そこで、チーム戦を維持する難しさについて、少し紹介してみたい。
JEGTが国内屈指のグランツーリスモリーグと言われる理由が見えてくるはずだ。

一定以上のレベルの選手が必要

チーム戦の難しさは、高いレベルの選手をそろえなければならない点だ。
1人速い選手がいても、メンバーのレベルがバラバラだとチームとして結果を残すことはできない。
例えば、予選スーパーラップでポールポジションを獲得しても、次のセクションのレベルが低いと簡単にポジションを明け渡してしまうことになる。

また、チーム戦は複数セクションで構成されるが、全てで一定以上のレベルの選手をそろえておかないとチームの成績が残せないばかりかレースそのものを壊してしまうことになりかねない。
極端に実力の違う選手が混ざってしまうと、他チームを巻き込む多重クラッシュにつながる恐れもあるためだ。

シリーズ戦として毎回選手をそろえるのが大変

10チームで年間3戦を戦うJEGTトップリーグでは、レースを走る選手だけでも延べ90名にのぼる。
さらに、選手個々の予定や体調面のリスクも有るため、予備メンバーも含めると必要な選手数はふくらむ。

スポットのレースであれば事前に予定を調整できるかも知れないが、シリーズ戦となるとリーグそのものに参加する価値がないと選手を集めること自体が困難になる。
選手自身がJEGTへの参加に価値を感じてくれているからこそ、ハイレベルなチーム戦を維持できるのだ。

チーム戦の魅力を最大限味わえるオフラインレース

勝敗を左右するドライバー交代はどのチームも必死

JEGTでのチーム戦の魅力が最大限発揮されるのが、オフラインレースだ。
オンラインレースでもセクションごとの手に汗握る展開が楽しめるが、オフラインレースではさらにドライバー交代という要素が加わる。
グランツーリスモというバーチャル世界に、ドライバー交代という現実世界が持ち込まれることでレースのおもしろさはさらに増す。

また、「REAL DIGITAL RACING」を標榜するJEGTのオフラインレースでは、実車でのレースに近づけるべくドライバー交代にも細かいルールが定められている。
席を離れるタイミングの規定や次ドライバーの待機ラインなどが設けられており、そのルールはワールドシリーズ以上に厳しい。
コース内のバトルで普段は1,000分の1秒を争っているが、ドライバー交代は失敗すると数秒単位でのロスにつながる。
そのため、選手にとってドライバー交代はいつも以上に緊張する瞬間だ。

シリーズ唯一のオフラインレースとして注目のJEGT2023シリーズラウンドファイナルは、東京オートサロン2024内で2024年1月14日（日）に開催される。
ぜひ会場の千葉県幕張メッセで、オフラインレースの感動と興奮を多くの観客と分かち合ってほしい。
JEGT公式YouTubeでも同時生中継されるため、会場に来られない方でもラウンドファイナルの盛り上がりを楽しめるはずだ。

Text： 渡邉　篤

チーム間で戦略の分かれたRd.2のアーカイブはこちら

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