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ニュースJEGT2023シリーズトップリーグで、#12 KOSHIDO RACINGが使用して好タイムを連発し、にわかに話題となっている「ジェネシス」。
メーカーは韓国のヒョンデだが、ジェネシスとは車名でありブランド名だ。
一方で、ヒョンデは2010年に一度日本市場から撤退(2022年一部車種で再進出)していることもあって、国内での認知度はほとんどない。
そこで、ヒョンデのジェネシスについて、詳しくご紹介しよう。
「ジェネシス」は、かつてヒョンデが高級セダン、クーペとして販売していた車名だ。
ジェネシス クーペは、ヒョンデ初のFRスポーツクーペとして2008年のニューヨークモーターショーで発表され同年に発売。
ほぼ同時期に発売した高級セダン、ジェネシスと共通のプラットフォームを使用して開発された。
驚くべきことに、セダンのジェネシスも自社開発としては初のFR乗用車という情報もある。
真偽は不明だが、FR車開発のノウハウが乏しいなか、高い運動性能を求められるFRスポーツクーペを開発に踏み切ったのはかなり挑戦的だっただろう。
当初は単なる車名として使用されていたジェネシスという名称は、2015年に北米と欧州を中心に展開するヒョンデの高級ブランドに発展した。
トヨタでいうところの、「レクサス」という位置づけだ。
2015年はすでに日本から撤退していたため日本国内での展開はないものの、新型SUVを投入するなど高級路線としてのブランド確立を目指している。
ちなみに、タイガー・ウッズが結果的に安全性を証明したヒョンデの高級SUV GV80は、ジェネシスブランドのクルマだった。
当時ニュースでも話題になったため、記憶に残っている方もいるのではないだろうか。
ジェネシス G70は、メルセデス・ベンツ CクラスやBMW 3シリーズをライバルとする中型スポーツセダン。
最高級モデルではないものの、欧州の自動車メーカー各社が力を入れているカテゴリーであり、ジェネシスブランドとして中心的な存在だ。
大きな逆三角形の「クレストグリル」と呼ばれるフロントグリルが印象的で、先鋭的な前後ライトのデザインも含めて強く欧州車を意識していることがわかる。
また、フロントフェンダー後端の導風口や楕円形のマフラーが、スポーツモデルであることを主張。
戦闘機のコックピットをモチーフにしたというコックピットは、スポーティでありながら落ち着いたデザインで車格にあった高級感も感じる。
ジェネシスブランドとしてグランツーリスモに収録されている実車は、G70 3.3T AWD ‘22のみとまだ少ない。
G70以外の車種は、G70 GR4とジェネシス X Gr.3という架空のレーシングカーだ。
#12 KOSHIDO RACINGが今季選んだGr.3車に焦点を絞って詳しく紹介しよう。
ジェネシス X Gr.3は、2021年に発表されたコンセプトカー「ジェネシス X Concept」をベースにデザインされた架空のレーシングカーだ。
コンセプトカーがベースという架空に架空を重ねたようなクルマとはいえ、グリルやテールライトの意匠などG70に似ている部分もあり、現実味のあるスタイリングに仕上げられている。
一方で、フロントフェンダー後端までつながっているライン状のヘッドライトなど、近未来的な要素も盛り込まれている興味深いデザインだ。
ジェネシス X Gr.3の迫力のある見た目から受ける印象とは異なり、意外にもどのコースでも扱いやすい。
搭載された3.3Lターボエンジンは最高出力555ps、最大トルク71.0kgを発生。
基本的には直線で力を発揮するマシンだが、52:48という理想に近い前後重量バランスによって、ハンドリング性能にもあまりクセがない。
事実、今シーズンジェネシス X Gr.3を使う#12 KOSHIDO RACINGは、予選や決勝レースヒート1で2番手に入るなど速さを見せている。
しかも、Rd.1はテクニカル要素の強い鈴鹿サーキットで、Rd.2は世界屈指の高速コーススパ・フランコルシャンというまったく特性の異なるコースでの結果という点も興味深い。
なお、ベース車両のジェネシス X Conceptは、EV車のコンセプトモデルだった。
今回グランツーリスモに収録するに当たり、Gr.3の要件を満たすためにあえて内燃機関に換装したという珍しい経緯がある。
ヒョンデは、2010年の撤退後2022年から再度日本に進出して販売を開始した。
しかし、ジェネシスブランドは北米や欧州などのみで展開され、まだ日本には入ってきていない。
欧州車を思わせる高いデザイン性をもったクルマだけに、一度実車を見てみたいものだ。
一方で、国内で馴染みのないクルマでも気軽に運転できるのが、グランツーリスモのメリット。
レースにおいても、比較的オールマイティに使える車種なのでぜひ一度使用してみてほしい。
また、デイリーレースなどをみているとジェネシス X Gr.3一色ということもあるので、コースや条件によっては絶対的な速さを発揮するようだ。
今季をジェネシス X Gr.3に託した#12 KOSHIDO RACINGは、Rd.2を終えてポイントランキング4位。
ファイナルラウンドの結果によっては、シリーズチャンピオンを狙える。
次戦、東京オートサロン2024で開催されるファイナルラウンドで、ジェネシス X Gr.3の走りにもぜひ注目してみてほしい。
Text: 渡邉 篤
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