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ニュース2023シーズンの開催が10月9日(月祝)に迫る、グランツーリスモの国内最高峰リーグJEGT。
開幕戦を前に、JEGTとして初のスピンオフ企画「AUTOBACS JEGT HYPER SPRINT」(以下「ハイパースプリント」)が開催された。
ハイパースプリントは、わずか2周で決着をつけるという他のグランツーリスモの大会では見られない独自のフォーマットを採用。
JEGTとして初めて一般参加の公募も行った、ハイパースプリントの模様を詳しくお伝えしよう。
認定ドライバーの参加を基本とするJEGT(企業対抗戦の一部を除く)だが、今回のハイパースプリントでは一般ドライバーの参加も広く募集。
JEGT初のオープン部門の開催とあって、認定ドライバー以外の多くの選手も参加した。
一般部門への参加は、8月よりJEGT公式サイトで募集。
告知からわずか2週間というエントリー期間にもかかわらず、多くのドライバーからの応募があった。
グランツーリスモを使用する大会はさまざまな団体が開催しているが、これまで基本的に認定ドライバーと事前登録選手だけの参加だったJEGTが初めて一般募集をしたことで注目を集めたのだろう。
本戦に先立って非公開で行われた一般部門の予選には、敗者復活も含めて延べ22名が参加。
各選手が熱い戦いを繰り広げ、予選とは思えないほど白熱した展開となった。
実は筆者も予選に参加したのだが、残念ながらあっさりと初戦敗退。
日本のレベルの高さと筆者の実力不足を痛感しながらも、普段味わえない緊張感のなかでのレースは存分に楽しめた。
わずか0.033秒差での決着となった対戦もあるなど、参加選手の実力は伯仲。
非公開だっただけに、ほかの選手のレースを見られただけでも参加をした意味を感じる予選だった。
超短期決戦のハイパースプリントは、グランツーリスモの他の大会にはない独特のフォーマットだ。
当日の実況、解説を担当した世界的トップドライバー、山中智瑛選手と宮園拓真選手でさえも「史上初のレギュレーションでは?」と口をそろえた。
レースレポートの前に、まずはハイパースプリントのルールを説明しよう。
ハイパースプリントは、わずか2周のレースを1対1で戦う。
通常のレースのように、複数選手の絡むポジショニング争いやレース後半を睨んだ戦略といった複雑さは一切ない。
また、2周という短時間勝負なので、ほんのわずかなミスが勝敗に大きく影響する。
実力差のある対戦でも結果を予測しにくいため、最後まで手に汗握る緊張感のあるレースになるのもハイパースプリントの魅力だ。
認定ドライバー部門では、タイヤ摩耗及び燃料消費が高めに設定され、短いレースのなかでも高いレースマネジメント能力が要求される。
使用ソフト | グランツーリスモ7 |
大会形式 | オンライン形式 |
使用コース | 富士スピードウェイ |
周回数 | 2周 |
スタート方式 | グリッドスタート(グリッド順は抽選) |
使用マシン | マツダ RX-VISION GT3 CONCEPT |
使用タイヤ | レーシングソフト |
タイヤ摩耗 | 24倍(一般部門は摩耗なし) |
燃料消費 | 20倍(一般部門は消費なし) |
認定ドライバー部門には10名が参加、トーナメント形式で優勝者を決定。
一方、事前予選を勝ち抜いた4名のドライバーで争われたオープン部門は、準決勝からの実施となった。
どちらの部門も、ほとんどの対戦が接戦となり、一瞬も目の離せない展開。
オープン部門に出場したのは、予選を勝ち上がった阿舎利謙吾選手、レイン選手、Ayu選手、kiyo選手の4名。
レースを制したのは、準決勝、決勝と素晴らしい走りをみせたAyu選手だった。
「終始本当に見ごたえのあるバトルだった」と解説の宮園選手が評するほど、手に汗握るレース展開となった決勝レース。
しかし、ゴール直前の最終コーナーでkiyo選手のわずかなミスからAyu選手が押し出されるアクシデントに対してペナルティ裁定が下り、優勝者がAyu選手に決定した。
認定ドライバー部門に参加した10名の選手は以下の通り。
辻村亮介選手、辻竜彦選手、清水裕生選手、大石澄海選手、佐々木唯人選手、石井大雅選手、川上奏選手、田代寛朋選手、鵜飼幸希選手、岡村康平選手。
普段のJEGTトップリーグのようにチームを背負っての戦いではないだけに、各選手がいつも以上にアグレッシブな走りを見せてくれた。
一方で、コース中でわざとポジションを譲ってホームストレートでのオーバーテイクを図るなど、トップドライバーらしい駆け引きも見どころだ。
レース結果は、いつもは見せないドライビングスタイルで攻め続けた川上奏選手が優勝したが、2位となった佐々木唯人選手との差はわずか0.022秒差。
中継には載っていないと思うが、中継会場にいた関係者全員が思わず叫んでしまうほど大興奮の展開となった。
決勝レースでは燃料切れが勝敗を決するいう、その差はわずかなレースマネジメントの違いという実力の拮抗する認定ドライバーらしいハイレベルな攻防に拍手を送りたい。
ハイパースプリントの中継は、山中智瑛選手と宮園拓真選手がそれぞれ実況と解説を担当。
普段は見られない両名の掛け合いも見どころの1つだが、宮園選手はハイパースプリントの珍しいレースフォーマットに中継当初から「走りたい」と強い興味を示していた。
オープン部門、認定ドライバー部門の優勝者と宮園選手の3名で争われたエキシビションマッチでは、本気で勝利を狙う宮園選手が3番手スタートから攻めの走りを見せる。
再三の仕掛けや、ファイナルラップの最終コーナーでトップを奪うなどエキシビションマッチにするには惜しいほどの熱いレース展開となった。
結果は、1000分の1秒まで計測できるグランツーリスモ7で、「タイム差なし」という劇的な幕切れ。
激走した宮園選手だったがわずかに届かず、認定ドライバー部門優勝の川上選手が勝利した。
JEGT初のスピンオフ大会となったハイパースプリントは、初開催とは思えない盛り上がりをみせて無事に終了した。
そして、次に気になるのは2023年10月9日(月祝)に開幕が迫るJEGT2023シーズンだ。
今回のハイパースプリントに参加した選手たちが、今度は企業やチームの看板を背負って熱い戦いを繰り広げる。
ドラフト初指名の選手も多く、さらにトップ選手のチーム移籍など新体制で争われるJEGT2023シーズンの行方は全く予測できない。
また、グランツーリスモの大会として国内最高峰を誇るJEGTだけに、少なくとも2022年以上にパワーアップしていることだけは間違いないだろう。
2023年はどんなドラマが生まれるのか、今から開幕戦が待ち遠しい。
開幕戦の模様は、JEGT公式YouTubeチャンネルで2023年10月9日(月祝)16:00から配信される。
Text: 渡邉 篤
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