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ニュース国体の正式な文化プログラムに位置づけられている、「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」(以下、適宜国体と表記)の「グランツーリスモ部門」関西エリア決勝レースが2023年9月24日に開催された。
今回のエリア決勝レースは、JEGTが初めて公式にサポート。
日本最高峰のグランツーリスモリーグを運営するノウハウが注ぎ込み、全ての運営を執り行った。
また、世界のトッププレイヤーとしても活躍するJEGT認定ドライバーたちが、出場選手や中継陣として奮闘。
関西エリアの代表を決めるレースとはいえ、日本のeモータースポーツファン注目の大会となった。
全国都道府県eスポーツ選手権関西エリア決勝レース当日の模様を、詳しくお伝えしよう。
今回の開催エリア決勝レースの運営を行ったのは、2023年10月9日に5シーズン目の開幕を迎えるJEGT。
JEGTとして直接的に国体の運営に関わるのは今回が初となる。
コロナ禍の難しい局面も含めて、初開催からオンライン、オフライン大会ともに長年運営してきた実績が評価された形だ。
実況と解説は、JEGT認定ドライバーであり優勝経験のある山中智瑛選手と宮園拓真選手を起用するなど、JEGTらしさも垣間見えた中継の裏側をご紹介しよう。
都道府県予選がグランツーリスモ7上の公式レース扱いで開催されることもあり、国体のグランツーリスモ部門は毎年大きな盛り上がりをみせる。
関西エリア決勝レースはU-18と一般の2部門それぞれで行われ、各都道府県予選のタイムアタック上位成績者(1〜2位)が出場。
大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県の2府4県から、2部門合わせて総勢22名が参加した。
レース前のインタビューの実施など、関西エリアのみのレースとはいえ本格的な雰囲気のなかで大会は進行。
オフライン大会独特の緊張感もあったなか、全ての参加選手が熱いレースを繰り広げてくれた。
今回の関西エリア決勝レースは、実際の会場に選手が集まるオフライン大会として開催され、JEGTの公式YouTubeチャンネルでも同時生中継された。
東京オートサロンでの大会と比較すると規模はそれほど大きくはないが、本格的な中継機材や実況席を準備。
レース中の選手を映し出すカメラまで設置され、白熱したレースの模様を臨場感たっぷりに伝えた。
中継では、実況に山中智瑛選手、解説に宮園拓真選手をキャスティング。
両選手ともにJEGTの認定ドライバーとして、長年ともに歩んできた。
世界チャンピオン経験もあり、名実ともにワールドクラスの選手2名を起用できるのはJEGTの強みだろう。
光っていたのは、山中選手の実況がかなり的確でわかりやすかったことだ。
現在の状況だけでなく、ドライバーのわずかな操作も見逃さずつぶさに伝えてくれる。
一方、宮園選手の解説も、自分が走っているかのように選手としての心境まで踏み込んでいて、より深くレースを理解することができた。
世界のトップレベルで争うプレイヤーだからこそ、客観的な視点や分析能力にも長けているのだろう。
使用コースは名門のスパ・フランコルシャンで、使用マシンはシルビア spec-R Aero (S15) Touring Carのワンメイクレースで開催された。
実力伯仲のレースとなった、U-18部門のレースを振り返ってみよう。
なお、予選から決勝にかけてタイヤや燃料の条件がそれぞれ異なる。
>>一般部門も含めてレースの詳しいレギュレーションを知りたい方はこちら
>>全レースリザルトはこちら
予選は、6名ずつの2グループで実施され、各グループの上位3名が決勝レースに進むという形で行われた。
また、予選、決勝それぞれのレース前には、グリッド順を決めるタイムアタックを実施。
タイムアタックにはJEGTでもおなじみのスーパラップ方式が採用され、1周のみアタックという緊張感が選手を追い込む。
なお、レースフォーマットは一般部門と共通となっている。
予選グループAに出場したのは、梅津 和志選手(京都府)、神藤 巧磨選手(大阪府)、坂下 亮仁選手(滋賀県)、安川 海青選手(大阪府)、長谷 幸光選手(奈良県)、西上 龍也選手(和歌山県)の合計6名。
梅津選手、神藤選手、坂下選手の3名が決勝レースに駒を進めた。
一方の予選グループBは、石野 弘貴選手(兵庫県)、佐々木 壱晟選手(滋賀県)、佐々木 優太選手(兵庫県)、辻野 笑太選手(奈良県)、伊東 蒼輝選手(和歌山県)の5名が出場。
決勝レースに勝ち上がったのは石野選手、佐々木 壱晟選手、佐々木 優太選手となった。
決勝レースで圧巻だったのが、グリット順を決めるタイムアタックだ。
わずかトップから6位までのタイム差はわずか1秒あまり、さらに2位から5位に限るとコンマ2秒以内という大接戦になった。
実力が拮抗するなかのレースとなった決勝を制したのは、終始圧倒的な速さをみせた石野 弘貴選手(兵庫県)。
まだ若干13歳とは思えない、圧巻の走りが印象的だった。
2位には冷静なレース運びで佐々木 壱晟選手(滋賀県)が入り、もう1枚の代表切符を獲得した。
一般部門も、U-18部門と同様にスパ・フランコルシャンを舞台に実施。
一方で、使用マシンがRX-VISIONとなっている点がU-18と異なる。
U-18部門からカテゴリを跨ぎ、大会3連覇という偉業も視野に入る注目選手も出場した。
予選グループAは、吉田 稜汰朗選手(京都府)、佐々木 拓眞選手(滋賀県)、西谷 翔真選手(大阪府)、早川 聖馬選手(兵庫県)、栂井 将馬選手(大阪府)、山下 耕平選手(和歌山県)の合計6名が出場。
佐々木 選手、吉田選手、西谷選手の3名が決勝レース出場を決めた。
予選グループBは、鎌田 智暉選手(兵庫県)、和田 聖矢選手(奈良県)、大野 爽太選手(京都府)、稲田 圭将選手(和歌山県)、西村 勇輝選手(滋賀県)の5名で3つの椅子を争う。
決勝レースに進出したのは鎌田選手、和田選手、稲田選手の3名。
昨年までU-18部門で2連覇を飾っていた、佐々木 拓眞選手(滋賀県)が3番手スタートながら接戦を制して優勝。
2位には吉田 稜汰朗選手(京都府)が入り、両名が関西エリア代表となった。
盛り上がりのうちに終了した関西エリア決勝レースだが、もう1つ大きなトピックスがある。
今年からJEGT認定ドライバーとしてトップリーグに参加する、佐々木 拓眞選手(滋賀県)が兄弟で本戦への出場を決めたことだ。
弟はU-18部門で2位を獲得した、佐々木 壱晟選手(滋賀県)。
わずか1歳という年齢差から、兄弟での別部門同時出場は今年しか果たせないなか、見事にチャンスをものにした。
本戦出場という史上初の快挙の次は、兄弟での両部門制覇にも期待がかかる。
一方で、関西エリアのみならず、全国の代表選手にもぜひ頑張ってほしい。
全国都道府県対抗eスポーツ選手権は2023年11月25日、鹿児島県のライカ南国ホールでおこなわれる。
Text: 渡邉 篤
■【正式結果】「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2023 KAGOSHIMA」グランツーリスモ7部門 関西エリア決勝戦 リザルト