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ニュースクルマを走らせるために必要不可欠な、クラッチとブレーキ。
直接的にクルマがパワーアップできるわけではないが、サーキットでタイムを縮めるためにはどちらも重要なパーツだ。
グランツーリスモ7でも、クラッチとブレーキは複数の交換パーツが用意されている。
走行性能やバランスを見ながら組み合わせを変更できるのは、クルマ好きにとっては嬉しい機能だ。
パーツ自体は地味であまり脚光を浴びることのないブレーキとクラッチについて、基本的な仕組みからグランツーリスモ7でのセッティングまで紹介しよう。
クラッチもブレーキも、摩擦材を押し付けることで能力を発揮するパーツだ。
より高い性能を実現するには、部品に使用する素材と押し付ける力、つまり圧着力が重要になってくる。
クラッチとブレーキの基本的な仕組みと、性能アップのポイントを詳しく解説しよう。
エンジンとトランスミッションの間にあり、停車時や変速時に動力を自由に遮断できる装置が“クラッチ”。
操作をこなっていない状態では、トランスミッション側のクラッチ板と呼ばれる板状のパーツがエンジン側のフライホイールにバネの力で圧着されている。
クラッチペダルを踏むとクラッチ板が切り離されて、エンジンの動力がトランスミッションに伝達されなくなる仕組みだ。
クラッチ板には摩擦力のある素材が使用されていて、エンジンの動力をトランスミッションに余すことなく伝える。
クラッチの摩擦力を超える強大な力がかかると、クラッチが滑ってパワーロスが発生してしまう。
レーシングカーやチューニングカーなどでは、エンジンの出力に応じたクラッチの強化が必要だ。
クラッチの強化は、圧着力と摩擦力の2つの観点でおこなう。
圧着力は、クラッチ板を押さえつけている板バネの力を強化する。
実際には板バネはクラッチカバーに取り付けられているため、クラッチカバーを強化品に交換することで圧着力を高める。
一方、摩擦力の強化はクラッチ板の摩擦素材を、メタル製やカーボン製に変更することで向上。
また、クラッチ板自体を2枚、もしくは3枚に増やして摩擦面積を増加させるのも有効な手段だ。
摩擦力の高い素材にクラッチ板を変更すると、クラッチ板自体の面積を小さくできるというメリットもある。
クラッチ板を軽量化すると、回転上昇時や下降時のレスポンスが改善されるためだ。
ブレーキは、車軸に取り付けられて回転するブレーキローター(またはディスク)と呼ばれる円盤状の部品を、ブレーキパッドと呼ばれる摩擦係数の高い部品で挟み込むことでクルマの動きを止める。
ブレーキの効きがよければ自在にクルマをコントロールできるようになるため、ブレーキの強化も速く走るためには欠かせない。
ブレーキの強化ポイントは、ブレーキローターの大径化と素材の変更、ブレーキパッドの素材の変更、さらにブレーキパッドを押し付けるキャリパーの力の3点。
レーシングカーやスーパーカーなどでは、ローター、キャリパーともに摩擦力と重量面で有利なカーボン製を使用することがある。
一方、一般的なチューニングカーでは、メタル製と呼ばれる金属繊維を使用した素材に交換することが多い。
また、キャリパーの挟み込む力を強化するため、6ポッドや8ポッドと呼ばれるキャリパーに交換する。
これはキャリーパーに組み込まれるピストンの数を増やすことで、ピストン1つあたりの直径を小さくすることが目的だ。
ピストンを小さくすることで、よりブレーキローターの外側を挟み込むことができ、制動力がアップする。
グランツーリスモ7では、「チューニングショップ」でブレーキとクラッチを購入できる。
それぞれ複数のグレードが用意されており、チューニングステージに合わせて選べるようになっている点がリアルだ。
グランツーリスモ7でのブレーキ、クラッチセッティングについて紹介しよう。
グランツーリスモ7では、チューニングパーツとして複数のブレーキが用意されている。
価格の高いものほど高性能になるので、選択時に迷うことはないだろう。
また、パッドも2種類用意されていて、ノーマルを含めると3種のなかから選択できる。
ブレーキローターとパッド、タイヤの組み合わせでバランスが大きく変わるので、実際にコースを走りながら試行錯誤をしてほしい。
ブレーキフィールは好みによるところも大きいので一概には言えないが、基本的には使用するタイヤと同グレードのパーツを組み合わせると一定のバランスは取れるはずだ。
グランツーリスモ7のクラッチは、シンプルにグレードが高いほど高性能になる。
しかし、エンジンをどれだけパワーアップしても、クラッチが滑ってパワーロスをするところまでは残念ながら再現されていない。
クラッチ交換によるメリットは、セットになっている軽量フライホイールも含めてシフト時のレスポンスの向上だ。
特にオートマやパドルシフトを使用していると実感しやすいのだが、グレードが高いほどシフトチェンジの際のもたつきが解消されてクイックになる。
クラッチを変更すると、「カーセッティング」画面右側の「加速性能」欄のタイムが変化するので確認してみてほしい。
グランツーリスモ7のブレーキやクラッチは、どんな使い方をしても壊れない。
走行性能やフィーリングだけで決められるので、パーツ選びが単純だ。
しかし、実車のブレーキやクラッチは、耐久性や使い勝手も考慮しながら選定しよう。
たとえばクラッチを強化品に変更すると、半クラッチが使いにくくなるうえ、クラッチペダルも重くなるので使い勝手という意味ではかなり悪くなる。
また、ブレーキパッドをメタル製に変更すると、純正パッドでは気にならなかったローターの摩耗が一気に進む。
メーカーがテストを重ねて開発した純正パーツは、想像以上に完成度が高い。
一般車であれば、少なくともブレーキやクラッチに関しては性能面での不満はほとんど感じないだろう。
一方で、気軽に好きなパーツを装着できるグランツーリスモ7では、自分好みの性能や乗り心地を求めて楽しみながら試行錯誤をしてほしい。
Text:渡邉 篤
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