NEWS
ニュース2023年4月のグランツーリスモ7のアップデートで、スーパーフォーミュラの新車「SF23」が収録された。
エアロデザインや標準リバリーもカッコ良く、とても魅力的なクルマであるのは間違いない。
ただ、スーパーフォーミュラのことをあまり知らない初心者の方もいると思う。
そこで今回は、私の目線からみたスーパーフォーミュラの概要や魅力をお伝えしたい。
また、マシンの詳しい挙動などもグランツーリスモ上で実際に検証しているので、上級者の方にとっても参考になる内容になっていると思う。
Text: JEGT認定ドライバー 山本 英弥
スーパーフォーミュラは、国内フォーミュラカーレースのトップカテゴリーであり、根強い人気を誇っている。
当該カテゴリは1970年代から全日本F2、全日本F3000、フォーミュラ・ニッポンと変遷し、2013年より現在のスーパーフォーミュラ(以下、SF)という名称になった。
現在のレギュレーションは実質ワンメイクであり、ドライバーやチームの総合力が試される側面が強い。
まずは、SFの魅力や概要を紹介しよう。
スーパーフォーミュラの魅力を、私目線で2つ挙げたいと思う。
1つは参戦しているドライバー、もう1つはチームのレベルの高さだ。
ドライバーとチームについて、それぞれ詳しく紹介しよう。
ドライバーに関しては、活きの良い若手や経験豊富なベテランなどの日本のトップドライバーはもちろんのこと、F1などの有力な国際レース経験者も参戦している。
スーパーフォーミュラの前身となる各シリーズにおいても、F1経験者や、日本での活躍が認められてF1へ渡ったドライバー(いわゆるF1予備軍)も数多く参戦していた。
チームに関しては、日本のいわゆる「名門チーム」を中心とした構図であり、マシンのセッティングや戦略で各チームの色が出ている点に注目したい。
ある特定のコースではAというチームが毎年安定して強いが、別のコースでは別のチームが強いといった傾向が見られる。
SFでは、各チームのノウハウも勝負の重要な要素だ。
SFに参戦しているチームは、概ねスーパーGTなど他のカテゴリーにも参戦しており、その辺りの関係性を調べてみるとレースを観るのがより面白くなるかもしれない。
SFは実質のワンメイクであり、今シーズン使用されるのはSF23のみである。
主要な部分について、先代モデルであるSF19と比較してみよう。
まず、使用するシャシー・エンジン・タイヤのサプライヤは、SF19から変更はない。
ダラーラ社製シャシーにホンダ又はトヨタの2Lターボエンジンを搭載し、タイヤはヨコハマタイヤを使用。
また、車体のサイズについても大きな変更は見られない。
ただし、大きく2つの考え方でマシンに変更が加えられているようだ。
一つ目は、環境への配慮である。
カーボンニュートラルへの対応として、ボディに天然素材等を使用し、タイヤにも天然由来の配合剤等の再生可能原料が使用されている。
今後もシリーズを継続させていく上では重要な観点であると感じた。
二つ目はエンターテインメント性の向上だ。
SFのマシンは強力なダウンフォースを利用してコーナーを高速で走行するために、空力的に優れた設計になっている。
しかし、前走車に迫って乱気流に巻き込まれると、空力特性を発揮できなくなってしまうため、ペースが落ちてしまう。
これではコース上でのバトルが減り、観ている側の面白みが低下する。
そこでSF23では、乱気流の影響を受けにくいようなエアロの工夫がされているようだ。
諸条件が異なり単純比較はできないが、実際の富士スピードウェイで行われたスーパーフォーミュラ第二戦では、SF23の方が直線スピードは伸びていたようである。
ポールタイムもSF23の方が0.3秒程度速かった。
SF23はSF19と比較して細かい部分での変更が見られるが、グランツーリスモ7ではどのように違いが見られるのかを確認していこう。
ゲーム上でのスペック、動力性能、コーナリング性能、操作性、ラップタイムの観点で感じたことを書いていく。
検証に使用したサーキットは富士スピードウェイ、タイヤはハードタイヤとした。
>>グランツーリスモ7のバージョン1.32アップデートの詳細はこちら
SF19とSF23で最高出力と最大トルクに差が見られる。
この違いはエンジン特性の差が関係していると思われ、SF23の方が中回転域でのトルクが太くなっており、数値上の差が出ているのだろう。
最高出力だけを見るとSF19の方がかなり優位に見えるが、実使用の面では大きな差がないと考える。
加速の部分やターンインといった部分では大きく違いを感じなかったが、トラクションの掛かりでSF19が優位な印象があり操作性で差がついた結果となった。
コーナリング性能には差を感じなかったため、ダウンフォースの差というよりは、エンジン特性の差によるものが大きいと想像する。
SF23の方が中回転域からトルクが発生している分、トラクションが掛けづらいのだろう。
あくまでも参考数値ではあるが、私がドライブしたところ大差はないものの旧型のSF19の方が0.1秒程速い結果となった。
前述のトラクション性能の差の分という印象だ。
ただし、使用タイヤのコンパウンドがソフトなどでトラクションがかかりやすい条件となった場合はこの差はほぼなくなるのではと考える。
SF19とSF23の主な性能評価
SF19 | SF23 | |
最高出力 | 648ps | 634ps |
最大トルク | 51kgf・m | 55kgf・m |
レッドゾーン | 10,400rpm | 9,500rpm |
動力性能(※) | 100 | 100 |
コーナリング性能(※) | 100 | 100 |
操作性(※) | 100 | 85 |
ラップタイム | 1’22.574 | 1’22.707 |
最高速度 | 288km/h | 288km/h |
(※)の項目は、SF19を100として比較
2023年4月のアップデートで、グランツーリスモ7に新たに収録されたSF23の検証を行った。
諸条件が同じとは言えないものの、ゲーム上ではSF19の方が優位に感じる部分があり、実際とは異なるものとなった。
今シーズンのマシンのリバリーを施して友人同士でプレイするのも楽しいが、今回のように実車とゲームで挙動の方向性が一致しているのかなどを考えると、いつもとは違った楽しみ方をできるのではないだろうか。
JEGT認定ドライバー:山本 英弥
ランク:S
生年月日:1994.1.13
出身地・居住地:奈良県
SNS:https://twitter.com/xxyymmmmtt
■【JEGTドライバーズコラム】グランツーリスモ7バージョン1.32アップデートの内容を徹底紹介