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ニュース世界のサーキットのコーナーには、固有名詞がついていることがあるのをご存じだろうか。
“シケイン”や“ヘアピン”といった形状ではなく、コーナーそのものに名称がつけられているのだ。
グランツーリスモをプレイする方はもちろん、JEGTや実際のレース中継などを見る際にコーナー名を覚えておくと、コース上のどの場所なのかが瞬時にイメージできてより楽しめるようになる。
今回は、日本を代表する国際規格のコース、鈴鹿サーキットと富士スピードウェイのコーナー名を紹介しよう。
>>コーナーの形状を始めサーキットでよく使われる用語解説はこちら
F1開催サーキットとして知られる鈴鹿サーキットは、三重県鈴鹿市にある全長5,807mの国際規格サーキット。
名だたるドライバーが称賛する独特のレイアウトで、世界的に人気のあるサーキットの一つだ。
日本でも有数の伝統あるサーキットだが、固有名詞で呼ばれるコーナーはあまり多くなく、ほとんどはコーナーの形状で呼称される。
鈴鹿サーキットの数少ない名称のついたコーナーを紹介しよう。
鈴鹿名物S字を抜けた後のターン7、上りながらの左の高速ロングコーナーを“ダンロップコーナー”と呼ぶ。
現在はなにもないが、1987年夏まではコースをまたぐ形でアーチ状のタイヤを模したダンロップの看板がかかっていたことが名前の由来。
ちなみに、“ダンロップコーナー”の由来となったタイヤを模した看板は、筑波サーキットにはまだ残っている。
デグナーカーブ”は、ダンロップコーナーを抜けた先にあるターン8と9を合わせた名称。
鈴鹿開業イベントとして開催された「第1回全日本選手権ロードレース」で、トップを走っていたドイツ人ライダー、エルンスト・デグナーがこのコーナーで転倒したころからよばれるようになった。
ターン13の複合コーナーは、鈴鹿名物の1つ“スプーンカーブ”。
名前の由来は、ずばりコーナー全体の形状が食器の“スプーン”に似ているためだ。
進入時と脱出時のコーナーの角度が異なるため、ドライバーの腕が試される。
富士スピードウェイは静岡県駿東郡小山町にある、鈴鹿サーキットと並んで日本を代表する国際規格サーキットだ。
全長4,563mで1.5kmにも及ぶ長いホームストレートが最大の特徴。
富士スピードウェイのコーナー名は、ネーミングライツとして販売しているためスポンサー名がついたものが多い。
権利保持者の都合や契約変更などで、コーナー名が比較的変わりやすいためその都度確認が必要だ。
コーナー名を覚えても来年には違う名前になってしまう可能性もあるが、変遷を紐解いてみる面白さがある。
ほとんどのコーナーにネーミングライツがついており、すべてのコーナー名を紹介しきれないが、興味のある方はぜひ調べてみてほしい。
“コカコーラコーナー”は、かつてはサントリーコーナーと呼ばれていた。
ターン1、2をクリアした後の短い直線後のターン3で、100Rにつながる重要なコーナーだ。
ライバル関係にある飲料メーカーが命名権を引き継いだ点は興味深い。
富士スピードウェイの代表的なコーナーの1つで、高速コーナーとして知られる“100R”。
開業当初のただの“100R”から“トヨペット100R”を経て、現在は“グリーンファイト100R”という名称になっている。
しかし、“100R”という呼称がファンの間で浸透しているため、あまりスポンサー名をつけて呼ばれない。
ちなみに、“100R”という名称ではあるものの、コース改修によって実はすでに100Rではないのも面白いポイントだ。
実際は、2005年の改修によって178R、106R、95Rの複合コーナーとなっている。
鈴鹿サーキットにもある“ダンロップコーナー”は、富士スピードウェイではターン10のシケイン1つめのコーナーが該当する。
1984年の改修でシケインが設置されて以来、同じ名称が使い続けられている数少ないコーナーだ。
ターン14から15にかけてのコーナーが“GRスープラコーナー”。
2005年の改修で新設されたコーナーだが、わずかな期間で4度も名称が変更されている。
すべてトヨタ系のブランド名で、ネッツ、プリウス、レクサスと変遷してきた。
富士スピードウェイのなかでも、もっともコーナー名の変更が多い場所だ。
海外と比べるとモータースポーツが盛んではない日本では、固有のコーナー名がほとんどつけられていないサーキットも多い。
しかし、F1開催の歴史もあり国際的にも広く知られている鈴鹿サーキットと富士スピードウェイは別格だ。
また、鈴鹿の“130R”や富士の“100R”のように、単なるコーナーの規格を示す名称そのものがコーナー名のように認知されている。
グランツーリスモをプレイする際には「スプーンの進入がうまくいかない」、レース中継を見る際には「ダンロップコーナー飛び込みでオーバーテイクできるかも」といった形でぜひレース談義をする際に使ってみてほしい。
Text: 渡邉 篤
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