NEWS
ニュース実車同様の感覚でグランツーリスモを楽しめるハンコンのなかでも、よりリアルな体験ができると言われているのがダイレクトドライブ(以下DD)と呼ばれるハンコンだ。
今回は、ワンランク上のドライビング体験ができるDD方式のハンコンに焦点を当てて解説。
JEGTの公式ハンコンG923を製造するLogicoolGから発売されたDD方式のハンコン、「PRO RACING WHEEL」の情報もあわせてご紹介したい。
ハンコンはメーカーごとにさまざまなモデルが用意されているが、駆動方式によって生み出されるFFBに大きな違いがある。
グランツーリスモのみならず、多くのレーシングシミュレータープレイヤーに支持されているハンコンの駆動方式がDD方式だ。
ハンコンにFFBを生むための機構は、ギアドライブ、ベルトドライブ、ダイレクトドライブの3つ。
動力源はいずれも電気モーターだが、最終的にユーザーの握るステアリングの軸に力を伝達する方法によってわかれている。
ギアドライブとベルトドライブは、モーターで生み出したトルクをギアやベルトを介して増幅することでFFBのトルクを生み出す。
モーターを小型化でき、比較的安価に製造できる点がメリットだが、生み出すトルクも小さい点がデメリットだ。
また、FFBの発生源であるモーターとステアリングの間にギアやベルトが介在するため、場面によっては動作の遅れや違和感に繋がることもある。
DD方式は大型モーターの回転軸に直接ステアリングが取り付けられていて、モーターの力がそのまま伝わるようになっている。
機構自体は単純なためモーターを高出力化でき、ギアやベルト方式のハンコンとは比較にならないトルクの強さが特徴だ。
また、ギアやベルトを介在しない分、FFBの挙動がそのまま手元に伝わってくるうえ、微細な振動もタイムラグなく表現できるため、実車に近い自然な感覚を味わえる。
ギアドライブやベルトドライブに取り付けられているステアリングホイールの直径は、実車よりも小ぶりなものが多い。
その理由は、発生するFFBのトルクが小さく直径が大きいステアリングだとテコの原理で手元に伝わる感覚が軽くなってしまうためだ。
十分なトルクを発生するDD方式のハンコンには、比較的実車に近い直径のステアリングが装着されている。
また、標準モデル以外にも、オプションでフォーミュラカーのような形状のステアリングが用意されているモデルが多い。
JEGTのスポンサーでもあり、公式ハンコンとして採用されているロジクールG(Logicool G)から、メーカー初となるDD方式のハンコンが発売された。
DD方式のハンコンを製造するメーカーは限られているだけに、選択肢が増えるのはユーザーとしては喜ばしい。
ロジクールG製のDD方式ハンコン「PRO RACING WHEEL」について紹介する。
現在のようにeモータースポーツが市民権を得る前の2000年台初頭から、ロジクール(Logicool)はハンコンを作り続けてきた。
当初からギアドライブ方式のFFB機能を搭載したモデルを作っていて、グランツーリスモはもちろん、多くのレーシングゲームのスタンダードモデルとなっている。
「PRO RACING WHEEL」は、ロジクールが初めて投入したDD方式のハンコンだ。
最大11Nmの高トルクに加え、ギアドライブ方式で長年培われてきたFFBの表現力がさらに研ぎ澄まされている。
G923とは一線を画した質感や剛性感を持ち、まさにワンランク上のハンコンであり、G923からのステップアップにおすすめだ。
また、対応ソフトウェアも幅広く、グランツーリスモだけではなく主要なレーシングゲームのほとんどで使用可能なのも嬉しい。
詳しくはメーカーの商品ページを確認してほしい。
今回発売された「PRO RACING WHEEL」にはペダルが同梱されていない。
これまでほとんどのロジクール製ハンコンにはペダルがセットになっていたが、それだけハンコンとペダルの作りにこだわった結果だろう。
耐久性の高い非接触センサー方式のペダルは、細かな調整を可能にしており、ブレーキペダルに感圧式(ロードセル)センサーを採用したことでより実車に近い感覚を実現した。
ほかにも、付属のスプリングを交換することで自分好みに踏み心地にカスタマイズできる。
DD方式のハンコンを導入すると、グランツーリスモでのドライビング体験がワンランクアップする。
また、FFBのトルクが強くなることで、より繊細なコントロールができるようになる点もDD方式のハンコンのメリットだ。
たとえば、5mmほどステアリングを切り込みたい際に軽いハンコンだとつい大きな操作になってしまうが、トルクが強ければ自分の思い通りに操作しやすい。
メリットの多いDD方式のハンコンだが、最大のネックは価格となる。
高出力モーターそのものが高額なうえ、強大なトルクを支える筐体も頑丈に作る必要があるためだ。
さらに、しっかりと強度のある設置場所も必要で、できれば専用のコックピットを用意したい。
DD方式の価格に抵抗がある方は、ギアドライブやベルトドライブのハンコンでも十分に楽しめる。
用意できる予算や環境、現状からのステップアップなど状況にあわせて最適なハンコンを選んでほしい。
Text: 渡邉 篤
■グランツーリスモをもっと楽しめるハンコンはどれ?駆動方式別の特徴を徹底解説